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第313回東京レントゲンカンファレンス
2009年5月28日
症例3 30歳代 女性 
   

血管腫(骨内)
intraosseous hemangioma


画像所見

[単純写真] 骨幹端から骨端部
膨張しているが軽度
全体にlucent で溶骨性変化を示す
粗な網目状、ネットワーク状の構造を示す
   
[CT] 髄腔を主とした溶骨性変化を示す
皮質に肥厚あり、硬化ははっきりしない
骨化、石灰化はない、骨膜反応なし
   
[MRI] T1, T2 とも高信号
T1 にて脂肪を疑う高信号域

Intraosseous hemangioma
・椎体の良性腫瘍のうち最多
・骨血管腫の75% は椎体、頭蓋骨に生じる
・椎体が最も多く、椎弓への進展は10-15% 。頭蓋骨では前頭骨が最多
・原発性骨腫瘍の1%, autopsy では11% の症例に思春期以降に発達するものがほとんど。ほとんどが無症状

病理:Capillary と Cavernous に分かれる
Cavernous: common
壁の薄い、大きな血管あるいは空洞を形成。一層の内皮細胞で裏打ちされている。
再吸収された骨梁により取り囲まれる。椎体、頭蓋骨に多い。
Capillary : uncommon
内皮細胞で裏打ちされた、微細な血管構造で形成
扁平骨(肋骨、骨盤)や長管骨の骨幹端に多い

●脊椎

基本的に単発病変
椎体には疎な線状構造が生じ、それぞれがlucent zone を伴う
 ⇒骨が血管腫様血管に置換され、
  骨梁が肥厚することに起因

側面像で“corduroy cloth appearance” や
“striated vertebra” とよばれる

 

●頭蓋

前頭骨に多いがどこにおきてもよい。
類円形のlucent area 内部に索状構造
 ⇒車軸状あるいはsunburst 様 (骨梁の肥厚)
頭蓋では骨外進展多い。
板間層から発生、外板の消失を伴う

   

●そのほかの骨

Uncommon.
膨張性の発育を示す、溶骨性変化
微細で網状のネットワーク
胞巣状構造

MRIでは血管成分や脂肪、間質性の浮腫を反映して、
T1, T2 ともに高信号を示す。

 


画像鑑別診断

・短管骨に生じた場合、膨張することが多い → 動脈瘤様骨嚢腫(ABC) と似る
・長管骨の場合、lucent な部分が多ければ →FD と似る
・椎体ではPaget disease が第一に鑑別に挙がる
・Paget では椎体では膨隆することが多い点が異なる。また終板が不明瞭でかつ硬化する
・MMとMeta では溶骨があるが striation がない
・LCH では圧迫骨折がよく生じるが、hemangioma ではまれ

 

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Moderator:植野 映子