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第313回東京レントゲンカンファレンス
2009年5月28日
症例4 50歳代 女性 
   

悪性リンパ腫
malignant lymphoma diffuse large B type

 

・上腕骨遠位骨幹端から骨端にかけての骨破壊
骨破壊のパターンは浸潤性、境界不明瞭
・同部上腕骨は膨隆している
・病的骨折を伴う
関節内の液体貯留あるいは腫瘤形成を伴う
・特に既往歴はない 50歳代女性
 

 

腫瘍の特徴を示す所見:骨破壊について
     

Geographic:地図状
Motheaten:虫食い状
Permeative:浸潤性

 

Geographic
腫瘍のある部位の骨破壊が均一に生じているもの

 

Motheaten
骨破壊が不均一に生じているもの

 

Permeative
小さな穴が多数開いたような溶骨性変化 →  Small round cell tumor

 

Small round cell tumors of bone
Ewing sarcoma
Malignant lymphoma
Myeloma
Langerhans cells histiocytosis
PNET(primitive neuroectodermal tumor)
Small cell osteosarcma
Metastatic neuroblastoma

WHO の定義
a) 領域リンパ節のinvolve の有無にかかわらず、骨のうち一箇所のみを侵す
b) 多領域の骨を侵すが、領域リンパ節や内臓のinvolvement を伴わない

・原発性骨腫瘍の3-4%
・Lymphoma のうち、骨のinvolvement を示すものは 30% ある
・20-70才代に生じる、ピークは35-45歳。男性に多い。
・痛みや腫脹といった局所症状を示す
・発熱、体重減少といった全身症状を呈することもある
・症状が無い場合もあって、局所症状と全身症状の乖離がlymphoma としての特徴を示すとする意見もある
・長管骨、骨盤、ろっ骨、椎体に多い。
 手足の小さい骨の病変も時に認められる。25% のcase に病的骨折が見られる。
・椎体病変は神経症状を伴うことも

骨髄浸潤を示す頻度が高い順に
Follicular, diffuse large B, mantle cell type

骨原発のlymphoma としての形をとることが多いのは
Diffuse large B-cell(92%), follicle center-cell.

東南アジアではT-cell 性が Bcell に次いで多い

画像所見は多彩

骨破壊像は地図状、虫食い状、permiative pattern を示す
骨膜反応は58% の症例にみられたという報告

48% の症例には周囲軟部腫瘤の形成が見られた
不釣り合いに大きく、浸潤傾向が強い、偽皮膜を伴わない、などの特徴がある

MRI は骨髄進展の診断に有用
T1 がわかりやすい、造影効果はみられるがあまり意味なし

 

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Moderator:植野 映子