肝細胞癌 |
当院外科にて肝右葉切除術を行った。
診断は、Moderately differentiated hepatocellular carcinoma
繊維性被膜を有し、肝細胞の脂肪化、出血を認めた。 周囲に散布像、門脈分枝にも浸潤を認めた。 |
今回、脂肪を含む肝の腫瘤性病変として鑑別を行った。
Macroscopicな脂肪を含む疾患として
・肝細胞癌(HCC)
・血管筋脂肪腫(Angiomyolipoma)
・奇形腫(Teratoma)
・脂肪肉腫(Liposarcoma)
・Adenoma
・Hepatic adrenal rest tumor
・Meta などが挙げられる。
1.被膜を認める病変はHCCとadenoma
adenomaは年齢から否定的
2.脂肪そのものの造影効果からの鑑別として、造影効果が強いのはALM、比較的低いのはHCCと報告されている。
3.被膜を超えた病変があることは、悪性の病変を考える。
4.AMLでは肝静脈の早期描出があると報告されている。
・脂肪の造影効果は 強くないように見える。 |
・被膜がある様に見える。 | ・被膜外の病変、 娘結節があるように見える。 |
・静脈の早期描出が見られない。 |
・脂肪の造影効果は強くないように見える。 ・被膜がある様に見える。 ・被膜外の病変、娘結節があるように見える。 ・静脈の早期描出が見られない。 →典型的な脂肪を含むHCCであった。 |
AML | HCC |
・ともに脂肪を含む病変である。AMLは結節性硬化症に合併することが知られている。 この疾患に発生する腎のAMLは20%、肝臓のAMLは6%と報告されている。 ・頻度的にはHCCが圧倒的に多い。AMLは本邦では08年まで13例報告されている。 大部分が単発性であった。 ・脂肪を含む腫瘍は鑑別が難しいが、詳細に読影すれば、 鑑別に有用な所見を拾い上げることができ、鑑別が可能である。 |
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