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第328回東京レントゲンカンファレンス
2011年5月26日
症例2 40歳代 女性
   

臍部子宮内膜症
umbilical endometriosis


現病歴6年前より月経困難症のため、経口避妊薬を内服し、当院産婦人科外来に通院中。
1年前から月経時に臍部の発赤を自覚。徐々に増大し腫瘤を形成。
3ヶ月前より、月経時に血性の浸出液が見られた。

【局所所見】
臍窩に胡桃大の腫瘤がはまり込んでいた腫瘤の一部は潰瘍形成しており、月経時に出血、圧痛あり

 

手術所見
腫瘤は皮下で頭側に伸び、一部筋膜へも浸潤している可能性があったため、腹壁を全層で切除。
腫瘤は充実性で割面に少量の出血を認めた。
 
頭側

 

病理所見
線維化と腺管構造を有し、子宮内膜組織と考えられた。
臍中心部の真皮直下、および皮下脂肪組織にも浸潤。悪性所見は認められない。
 

 

診断:異所性子宮内膜症

 

(外性)子宮内膜症
【腹腔内】
・卵巣(チョコレート嚢胞)
・骨盤腹膜:基靭帯、円靱帯、卵管、子宮頸部、腟、ダグラス窩
・消化管(12%)、尿路系(1%)

【腹腔外】(きわめて稀)
・肺、横隔膜、脳、末梢神経、皮膚etc.

皮膚、皮下の子宮内膜症(1.9%−2.5%)腹壁瘢痕(51%)、臍部(34%)、鼠径部(9%)、外陰部(6%)

 

臍部子宮内膜症・全子宮内膜症中の約0.1-0.4%程度と珍しい
女性の臍部腫瘍のうちの30-40%が臍部子宮内膜症
・月経随伴症状(腫脹・疼痛・出血など)を伴うことが多い

 

画像診断
骨盤内の子宮内膜症と同様、MRIでのメトヘモグロビン(T1強調での高信号)、ヘモジデリン(T2低信号)の検出が有用とされているが、困難なことも多く、性別、症状に着目することが重要。
 

付属器の内膜症性病変が顕著でないことも多い

 

鑑別診断尿膜管遺残、臍腸管遺残、角質嚢胞、悪性腫瘍、色素性母斑etc

 

 

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Moderator:山下 晶祥