JCR TOP 東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第328回症例 症例8:呈示 ≫ 症例8:診断と解説
第328回東京レントゲンカンファレンス
2011年5月26日
症例8 60歳代 女性
    右卵管癌
adenocarcinoma of right fallopian tube


画像所見・骨盤内右側寄りに長円形の腫瘤
・T2強調像で高〜やや淡い低信号、T1強調像で筋とほぼ等信号、拡散強調像で高信号
・CT,MRIともに辺縁主体に造影効果あり
・PET/CTで腫瘤全体に異常集積あり
・管状の構造物
・子宮との連続性ははっきりしない

・腸管(虫垂含む)? 卵巣? 卵管?

  腸管(虫垂を含む)?
・虫垂は正常と思われる
・腸管由来にしてはイレウスがない

  卵巣?
・管状の形態をとるのは非典型的
・T2強調像にて卵胞?らしきものがありそう

 

手術所見

 

病理所見
(H-E染色 40倍/H-E染色 400倍
異型の強い細胞が密に増殖、一部に腺管様構造あり



診断:右卵管癌(adenocarcinoma)

 

一般的事項・女性性器悪性腫瘍の0.3%
・古典的3兆は水様性帯下または不正性器出血、下腹部痛、腹部腫瘤
・40〜65歳に好発(平均55歳)
・組織型はほとんどが腺癌

画像所見
・卵管水腫をきたしやすい(大量の漿液を産生)
・付属器領域のソーセージ状構造
・充実部分はMRI T2強調像で中等度〜高信号、T1強調像で低〜中等度信号(非特異的)
・卵巣や腸管病変との鑑別が問題になることあり

 

 

≪≪症例提示へ戻る
Moderator:児山 久美子