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第 335 回 東京レントゲンカンファレンス[2012年4月26日]
症例8 70歳代 女性 : 腹痛
 小腸閉塞(外腸骨動脈をヘルニア門とした嵌頓ヘルニアよる)
 small bowel obstruction due to incarcerated hernia through the hernial ofifice formed
 by external iliac artery

 

 CT施行

・小腸 closed loop obstruction
・小腸壁肥厚/濃染低下、腸管膜鬱滞、比較的多量の腹水 → CT診断;絞扼性小腸閉塞
・外腸骨動脈がヘルニア門であること指摘せず!

・子宮体癌の手術時のリンパ節郭清により後腹膜が切除され、外腸骨動脈の背側部をヘルニア門とする小腸嵌頓ヘルニアが発症。
 –リンパ節郭清後の(後)腹膜処理は通常は切開/切除後の腹膜縫合は施行せず。
・理論上は腸骨動静脈がヘルニア門となることが考えられる。
・しかし、通常はリンパ節郭清では血管の背側に腸管が入り込むほどの間隙が生じるとは考えられず、このような腸骨動脈をヘルニア門とする小腸閉塞の症例報告はなく、過剰な手術操作によって間隙が生じたものと推察される。
・血管が小腸閉塞の原因となる報告
 –上腸間膜動脈症候群
 –恥骨背部の F-F バイパス血管
・CTでのヘルニア門となった外腸骨動脈の濃染不良は小腸、腸管膜嵌頓によって生じたキンクによるものと推察。

・稀ではあるが、ヘルニアの原因として血管もありうる。
・腸閉塞/腸虚血診断のみならず、腸管膜(腸管膜下脂肪、血管)の評価によるヘルニア門評価も重要。

 

 

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