仙骨巨細胞腫 giant cell tumor of the sacrum |
画像所見 |
【骨盤単純写真】 ・仙骨の骨破壊 |
【骨盤CT】 ・仙骨から骨盤内に及ぶ腫瘤 |
【骨盤MRI】
・T1強調像では、均一な低信号、T2強調像でも低信号(骨格筋の信号よりやや高い)
・T2強調像では、内部に嚢胞様の高信号域あり。
・拡散強調像では、充実性部分がやや信号が高い。嚢胞様の領域に信号上昇なし。
【骨盤MRI(造影)】
・不均一な濃染
・ T2強調像で嚢胞様の高信号を示した領域には濃染なし。
➀ T2強調像で低信号示す
➁ 嚢胞変性、または壊死を疑う所見を伴う
最終診断:骨巨細胞腫
骨巨細胞腫 |
・破骨細胞様の多核巨細胞が多数出現する腫瘍
・原発性骨腫瘍の約5%
・長管骨の骨端(特に膝周囲)に多い。
・その他にも橈骨・尺骨、上腕骨、脊椎・仙椎、骨盤骨にも好発。
・全GCTの3%が椎骨に、4%が仙骨に生じる。
・好発年齢は20〜40歳
・増殖速度が速く、再発率が高い
・しばしば肺転移をきたす。
【CT所見】
・骨溶解をきたし、膨張性に発育する腫瘤
・通常は内部に硬化像なし
・嚢胞、新旧の出血、壊死、線維化などの所見が混在している場合が多いが、その時にはそれぞれ特徴的なCT、MRI像を示す。
【MRI所見】
・T1強調像 低〜等信号
・T2強調像 低〜高信号(不均一な場合が多い。)
・二次性のABC componentが約15%に見られる(T2WI高信号、Fluid-fluid level)★
・造影MRI 不均一な濃染を示す。(細胞成分に富んだ部分は、T2強調画像にてやや高い信号を呈し、よく造影される。)
・嚢胞、新旧の出血、壊死、線維化などの所見が混在している場合が多く、それぞれ特徴的なMRI像を示す。
仙骨腫瘍の診断 |
頻度
metastasis | |
primary | |
malignant | Benign |
chordoma (50 %) | giant cell tumor (60 %) |
lymphoma (9 %) | aneurysmal bone cyst (4 %) |
multiple myeloma (9 %) | |
Ewing sarcoma in children (8 %) | |
chondrosarcoma osteosarcoma etc. | osteoblastoma etc. |
*(カッコ内は仙骨悪性腫瘍中の頻度) | *(仙骨良性腫瘍中の頻度) |
■ common
■ less common
本症例 |
➀ CT上、骨皮質の保たれた膨張性の発育
➁ T2強調像で低信号を示す。
➂ 嚢胞変性、または壊死を疑う所見を伴う。
|
参考文献
・Kwon JW et. al: MRI findings of giant cell tumors of the spine. AJR Am J Roentgenol. 2007 Jul;189(1):246-50.
・S. Gerber et. al: Imaging of sacral tumours. Skeletal Radiol (2008) 37:277–289
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