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第 337 回 東京レントゲンカンファレンス[2012年6月28日]
症例8 20歳代 女性 : 左鼠径部の疼痛
Nuck 管水腫
hydrocele of the canal of Nuck

 

 Nuck 管水腫

・胎生期に子宮円索の形成に伴って前腹壁腹膜が鼠径管内に入り込んだNuck 管(腹膜鞘状突起)は生後1年以内に閉鎖されるが、これが閉鎖されずに遺残し、嚢胞が形成され内部に液体が貯留したもの。
・女性の鼠径部〜外陰部の嚢胞性腫瘤として確認でき、男性の陰嚢水腫に相当する。

【疫学】女児での発生が大部分で成人女性では稀。

【症状】
・鼠径部腫瘤を自覚。
・無痛が多いが炎症などあると痛みを伴う。
・圧迫すると縮小する(腹腔内と交通あり)、縮小しない(非交通性)

【鑑別】
・鼠径部腫瘤 : 鼠径ヘルニア、リンパ節炎など
・外陰部腫瘤 : バルトリン腺嚢胞、類上皮腫、外陰子宮内膜症など

【検査】
・懐中電灯などの光が通過する(透光性)ことなどで判断。
・US でsolid かcystic かを確認することが重要である。

【治療】
・乳児(1歳未満)の場合は自然に治癒することが多い。
・以前は穿刺吸引を行う場合もあったが、すぐに再発することが多いので最近はあまり行われない。
・1歳を過ぎると自然治癒がしにくくなり鼠径へルニアを合併していたり、痛みが強い場合や本人が腫れを気にするようなら手術が選択される。
・手術は鼠径ヘルニアと同じ方法で施行される。

 

 画像診断

【US】
・内部無エコーの嚢胞性腫瘤、それに続く柵状物がみられる。
・comma-shaped lesion with its tail directed toward the inguinal canal(鼡径管に尾側を向けるコンマ型の形状)
・cyst-in-cyst appearance(多数の隔壁を有する)

【MRI】
・嚢腫の周囲に薄い壁を認める
・感染などで炎症があると造影で隔壁の早期濃染

【CT】
・単房性の腫瘤

 

参考文献
・Edmund Soh, et al. Hydrocele of the canal of Nuck: ultrasound and MRI findings Reports in Medical Imaging 2011:4 Pages 15 - 17
・ Park SJ, Lee HK, Hong HS, et al. Hydrocele of the canal of Nuck in a girl:ultrasound and MR appearance. Br J Radiol. 2004;77(915):243−244.
・ Stickel WH, Manner M. Female hydrocele(cyst of the canal of Nuck):sonographic appearance of a rare and little-known disorder. J UltrasoundMed. 2004;23:429−432.

 

 

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