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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第337回症例症例:呈示
第 337 回 東京レントゲンカンファレンス[2012年6月28日]
症例7 60歳代 女性 
眼窩内海綿状血管腫
cavernous hemangioma of the orbit

 


病理 海綿状血管腫
造影CT   2.0×1.3×1.0cm大の被膜のある暗赤色腫瘤で、組織学的には不規則に拡張する血管構造の増生が見られる。一部に器質化血栓が見られ、血管の間には繊維性結合組織が見られる。悪性像なし。

 


 画像所見

・右眼窩筋円錐内に見られる表面平滑な腫瘤。
・T1強調像にて脳実質と同等の低信号。
・T2強調像にて比較的強い高信号。
・腫瘤の背側から前方に向かい、強い造影効果が経時的に進展している。
・被膜が疑われる。

眼窩腫瘍の統計
良性腫瘍  36例 悪性腫瘍  20例
涙腺多形腺腫 13
炎症性偽腫瘍 8
血管腫 5
類皮嚢腫 5
髄膜腫 2
リンパ管腫 1
神経線維腫 1
孤立性繊維性腫瘍 1
悪性リンパ腫 13
腺癌  4
横紋筋肉腫  1
悪性神経鞘腫  1
悪性血管内皮腫  1

水野嘉信.病理組織診断を行った原発性眼窩腫瘍56例の検討.あたらしい眼科.22(6):850-852,2005.

 

 好発部位

眼窩筋円錐内 眼窩筋円錐外 眼窩筋円錐内・外・内外

視神経腫瘍(髄膜腫、膠腫など)
海綿状血管腫
リンパ管腫
血管外皮腫
神経原性腫瘍

静脈瘤

涙腺腫瘍(多形腺腫、腺様嚢胞癌、リンパ腫)
リンパ管腫
血管外皮腫
神経原性腫瘍
類皮嚢腫、類上皮腫
転移
鼻腔、副鼻腔腫瘍

涙腺病変
血腫

悪性リンパ腫
血管外皮腫
横紋筋肉腫
転移
白血病

偽腫瘍
サルコイドーシス
蜂窩織炎

画像診断リファレンス 眼窩・耳鼻咽喉・口腔領域のMRI p.6より一部改変

 

 海綿状血管腫の画像所見

筋円錐内に見られる境界明瞭な卵円形腫瘤
【CT】石灰化
【MRI】T1強調像:眼筋と等信号/T2強調像:均一な高信号
【Gd造影】早期の造強効果は不均一で、経時的に強い増強効果が拡がり、より均一になる。


 眼窩内海綿状血管腫

眼窩内海綿状血管腫 (n=214)(1986年1月1日から2000年12月31日)
女性 126症例  男性 88症例
平均年齢 39.4歳(5歳から 68歳)
左側眼窩 127症例   右側 87症例  両側性なし。
臨床所見:痛みのない徐々に進行する視力障害、眼球突出。
症例の  93% (199/214) がecho、CT、MRIにより術前に診断可能。

 

 Take Home Message

卵巣腫瘍において、MRI T2WIで強い低信号を示す充実成分もしくは隔壁/壁肥厚を認めた場合、(嚢胞)腺線維腫を鑑別に挙げる必要がある。

 

参考文献
Orbit. 2004 Mar;23(1):33-40.
Cavernous hemangioma of the orbit: analysis of 214 cases.
Yan J, Wu Z.
Zhongshan Ophthalmic Center, Section of Ocular Oncology & Orbital Disease, Sun Yat-sen University, Guangzhou, People’s Republic of China.


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Moderator: 矢野 希世志、逸見 明博