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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第338回症例症例:呈示
第 338 回 東京レントゲンカンファレンス[2012年9月27日]
症例8 40歳代 女性 
リウマチ結節
pulmonary rheumatoid nodule

 

 実は、初診は4ヶ月前

・初診時受診の科→リウマチ・膠原病内科
・診察上、主訴以外に左手首、右肘、左膝の関節痛もありそう。・・・臨床診断:RA

  初診   1ヶ月後   3ヶ月後
RF 16 20 22
MMP-3 36.4 83.1 112.0

 

 PET(3年半後)

 右中葉結節影の集積

 SUV:60min;mean 1.36
 120min;mean 1.70

PETから1ヶ月後
右上葉および中葉の結節に対してVATS施行

 

 病理組織診断

・右上葉結節:壊死物と泡沫上組織球の集簇からなり、周囲には線維化とリンパ球の浸潤がみられる。
・右中葉結節:右上葉と同様。結節状の壊死組織に多数の好中球の集簇や核破砕物が混在。
 周囲には泡沫組織球の浸潤、さらに外周をリンパ球浸潤を伴った膠原線維組織に囲まれている。
・弾性線維染色で壊死性肉芽腫が臓側胸膜弾力膜を巻き込む像がみられる。
・培養・PCR検査などで感染症が否定されるのであれば、リウマチ結節として矛盾しない。

 

最終診断:リウマチ結節


 リウマチ結節・リウマトイド結節

・高頻度に認められるRAの関節外症状の一つ
・全RA患者の22〜25%
・好発部位:全身のさまざまな部位に生じるが
 肘関節近傍の伸側
 後頭部や仙骨部などの圧力の加わる部位にできやすい
・皮下結節が最もよく認められる:肺結節は稀:0.18〜3.0%
・微小血管の損傷部にリウマチ因子ー免疫複合体が集積し、同部位にて活性化されたマクロファージからTGFα、TNFα、GM-CSFなどのサイトカインが放出されることにより形成

・中心部に壊死がみられ、周囲を柵状の配列を示す組織球・palisading histiocytesが取り囲んでいる
→RAに特異的なものではなく、除外診断が必要


 肺リウマチ結節

・約73%は無症状:咳嗽・息切れ
・喫煙者、男性、慢性肺疾患を有するもの、皮下結節を伴うもの、リウマチ因子高値例に多い
・RAの活動性に相関するという報告あり
・一方、肺野先行型RAで肺リウマチ結節がみられたとの報告もある


 画像所見の特徴

・上肺野から中肺野の末梢領域の胸膜に接して好発
・単発と多発の報告
・通常は数o〜3p ただし7pの報告もある
・しばしば空洞形成:38.4%
・FDG-PETのSUV値は2.5以下 肺癌との鑑別に有用
・自然消失や再発もみられる


 RAの経過観察中に出現する肺結節性病変の鑑別診断

・肺癌を代表とする悪性腫瘍と肺結核などの感染症が重要


 リウマチの肺病変

気道病変:他の膠原病疾患に比べ気道病変の頻度が高い:30-40%合併 気管支拡張症、DPB、閉塞性細気管支炎
間質性肺炎:UIP>NSIP>OP
胸膜病変:臨床的には5% 胸水貯留

 

 二次性肺病変として

薬剤性肺炎:抗リウマチ薬、生物学的製剤 MTXによる薬剤性肺炎:1%
日和見感染症

 


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Moderator: 平岡 祥幸