casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第339回症例症例:呈示
第 339 回 東京レントゲンカンファレンス[2012年10月25日]
症例4 0歳代 男児 
Leigh 脳症
Leigh's encephalopathy



 所見

・両側基底核領域に対称性のT2/FLAIR高信号
・同部位に一致した拡散強調画像高信号

 

 Childhood disorders of the basal ganglia

急性
・低酸素・低血糖
・一酸化炭素中毒
・HUS
・浸透圧脳症
・脳炎

慢性
・代謝異常
 -Leigh病
 -MELAS
 -Glutaric  acidemia type U
 -Metylmalonic acidemia
 -メープルシロップ尿症
 -Wilson病
・変性疾患
 -Juvenille Hantington disease
・脱髄疾患
 -Canavan病
 -異染性白質ジストロフィー
・その他
 -神経線維腫症1型

Ho et al: Bilateral Basal ganglia lesion : Pediatric differential considerations. Radiographics 1993;13 :269-292

 

 症例提示

主訴:哺乳力低下、活気低下
現病歴:38週、2834gで出生。周産期に問題なく、新生児仮死なし。1ヵ月検診も異常はなかったが、徐々に哺乳力低下、体重減少があり、当院入院。その後も症状は進行し、呼吸不全となったため、挿管の上、MRIを撮像した。

乳酸     33.8mg/dl
ピルビン酸 1.41mg/dl

 

 

診断:Leigh脳症

 

 Leigh脳症

・ミトコンドリア病の1病型
・新生児、幼児期より発症
・精神・運動発達遅滞、筋緊張低下、摂食障害、眼球障害、呼吸障害、不随意運動、視神経萎縮、けいれん、小脳症状など
・神経系以外では低身長、筋力低下、心筋症


 診断基準

A,臨床所見
1.幼児期以前に発症する進行性の知的または運動発達の障害
2.不随意運動、哺乳嚥下障害、呼吸障害、眼球運動障害、失調などの大脳基底核、脳幹の障害に起因する中枢神経症状を認める。
3.大脳基底核、脳幹に頭部CTで低吸収・MRIのT2およびFLAIR画像で高信号を両側対称性に認める。

B,ミトコンドリア異常の根拠
1.血中又は髄液の乳酸値が繰り返し高いか、またはミトコンドリア関連酵素の欠損
2.筋生検でミトコンドリアの形態異常
3.(Leigh脳症関連の)既知の遺伝子異常

認定基準・確実例
Aのすべてを満たし、かつBの1項目を満たすもの
Aの3を含む2項目を満たし、かつBの2項目を満たすもの
剖検、脳神経病理所見で特徴的な壊死性病変を認めたもの

認定基準・疑い例
Aの2項目を満たし、かつBの1項目を満たすもの

 

 結語

・Leigh脳症の一例を経験した
・典型的な画像所見と病歴であったため、今回提示させて頂きました



◀ 症例提示へ戻る  
Moderator: 松井 洋