casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第339回症例症例:呈示
第 339 回 東京レントゲンカンファレンス[2012年10月25日]
症例8 40歳代 男性
悪性黒色腫 肝転移
metastasis of malignant melanoma



 所見のまとめ

◎肝内多発腫瘤
単純CT
・境界の不明瞭な淡い低吸収腫瘤

MRI
・T1強調画像で高信号を呈する
・T2強調画像で周囲肝実質とほぼ等信号を示し、不明瞭となる
・内部に脂肪成分を含まない
・拡散強調画像で高信号を呈し、ADCmapで信号の低下を示す
・SPIOの取り込みが見られない

 

 T1強調画像で高信号を呈する肝腫瘤

◎脂肪:肝細胞癌、腺腫様過形成、肝限局性結節性過形成、血管筋脂肪腫、脂肪腫、奇形腫、肝細胞腺腫
◎亜急性期出血:血腫、肝細胞癌、出血を伴う転移(腎癌、肺癌など)
◎高濃度タンパク溶液を含む嚢胞性病変:粘液性嚢胞、感染後の嚢胞
◎銅、鉄の沈着物
◎メラニン

 

悪性黒色腫の多発リンパ節転移、多発肝転移

この症例は上腕原発の悪性黒色腫で治療中。単純CTで腹部傍大動脈領域リンパ節が多発して腫大、MRIT1強調画像においても傍大動脈領域に高信号となる腫大リンパ節が多発して認められており、悪性黒色腫の多発肝転移、多発リンパ節転移と診断しました。


 

 悪性黒色腫とは

病因:正常皮膚や眼窩、口腔、鼻粘膜などのメラノサイト悪性化の他、物理的刺激
疫学:人種や居住地による 日本では人口10万人あたり約2人(/年)(オーストラリアでは20人)
診断:皮膚の臨床所見(ダーマスコピー)、部分生検(S-100陽性、HMB-45陽性、MART-1陽性)、TMN分類(StageT〜W)、腫瘍マーカー  5-S-cysteinyl dopa(5-S-CD)
転移:リンパ節、皮下組織、肝(14-20%)、肺(18-36%)、骨(4-17%)、脳(2-20%)
予後:腫瘍深達度と転移の有無が主な予後規定因子、Stage T〜Wの5年生存率はそれぞれ95%,70%,50%,10%程度

Surg Oncol. 2004 Jul 1;86(4):172-8.   The natural course of cutaneous melanoma. Leiter U, Meier F, Schittek B, Garbe C.
・Int J Clin Exp Pathol. 2012;5(8):739-53. Epub 2012 Oct 1.    Primary mucosal melanomas: a comprehensive review.Mihajlovic M, Vlajkovic S, Jovanovic P, Stefanovic V.

肺転移


 


◀ 症例提示へ戻る 画像をまとめて見る…PDF
Moderator: 山本 亜也