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第 342 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年2月28日]
症例2 20歳代 男性 : 発熱、胸痛、左後頚部痛
レミエール症候群:
Lemierres syndrome

 

 レミエール症候群

・1936年フランス人医師Lemierreが報告
・口腔咽頭感染症が深部組織に波及
 →化膿性血栓性頸静脈炎
 →septic emboli
・若年者に多い
・適切な治療をしないと致死的となる(致死率0−18%)
・起因菌:Fusobacterium necrophorum (口腔内常在菌 嫌気性・グラム陰性桿菌)
 他のFusobacterium属やブドウ球菌なども
・近年増加傾向?
・咽頭炎に対する抗菌薬の使用頻度 ↓
・マクロライド系や第3世代セフェムの使用頻度 ↑(これらはFusobacterium属に無効)
・βラクタマーゼ産生菌の増加

[Riordanによる診断基準]
・4週間以内の咽頭炎
・血栓性内頸静脈炎 or Fusobacterium necrophorumの検出
・他臓器病変 (metastatic lesion)

[治療]
・嫌気性菌だけでなく好気性菌もカバー
・ABPC/SBT (+CLDM)
 CLDM+CTRX
 MNZ+CTRX
・投与期間は3〜6週間 (最初の2週間はi.v.)
・抗凝固療法は推奨されない

 

 

 結語

・扁桃周囲膿瘍後に頸部痛、呼吸器症状を訴える場合はレミエール症候群の可能性を疑う。
・肺以外にも関節、筋、肝臓、中枢神経など全身臓器の検索を行う。

参考文献
Postgrad Med J2004;80:328-334
・Pediatrics 2003; 112: e380.
・Clin Microbiol Rev 20: 622-659, 2007.



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