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第 343 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年4月25日]
症例2 80歳代 女性 : 左鎖骨上窩の腫脹、右季肋部痛
胃癌の左鎖骨上リンパ節転移
left supraclavicular lymphnode metastasis from gastric cancer

 

 進行胃癌(Borrmann4 型)

【組織】低分化型腺癌、印環細胞癌が多い

【画像所見】
・胃壁の肥厚(びまん性、全層性)
・遅延濃染
・Borrmann4 型で多い(間質に富むため
・微細石灰化(砂粒状)
・粘液産生癌、印環細胞癌で多い

【転移形式】
・リンパ節転移(左鎖骨上: Virchow)
・腹膜播種(ダグラス窩: Schnitzler)
・肝転移
・卵巣転移(Krukenberg)

【転移形式】
・皮下軟部組織?
・非常に稀:下肢、脊椎起立筋等で報告あり
乳腺への転移(印環細胞癌)は類似の所見:炎症性乳癌?


 今回の教訓

「難しい症例に出会った場合、答えは大抵自分の知っている病気である」
通常臨床において難しい症例に遭遇した場合、自分の知らない病気かもしれないと身を引いて諦めてはいけません。大抵は知っている病気のvariation であることが多いのです。
落ち着いて最も重要となる基本所見は何か再確認し、鑑別疾患を考えなおしましょう。

 

参考文献
・門沢秀一ら:日本医放会誌:60, 508-513, 2000
・遠藤真一郎ら:日臨外会誌:64, 3062-3068, 2003
・S.J. Kim:Clinical Imaging, 37 569-573, 2013
・N.S. Bese:Radiation medicine, 24, 150-153, 2006
・S. Kondo:Gastric Cancer, 5, 107-111, 2002
・JCR ニュース 191(2012 年11・12 月号)


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