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第 343 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年4月25日]
症例4 60歳代 女性 : 両手のしびれ、下肢痛
神経リンパ腫症
neurolymphomatosis

 


 Neurolymphomatosis (NL)

・末梢神経系へのリンパ腫細胞浸潤1)
・90% が悪性リンパ腫に、10 %が急性白血病に続発. NHL(特にDLBCL)の8.5〜29%に神経系への浸潤2)
・症状:有痛性、無痛性の末梢神経障害, 神経根障害, あるいは脳神経障害3)
・発症部位:末梢神経(60%), 脊髄神経(48%), 脳神経(46%), 神経叢(40%),複数の部位(58%)4)

<診断>
診断方法:異常所見陽性例(N = 50)1)

CT:7/11(64%)
MRI:36/47(77%)
FDG-PET:16/19(84%)
髄液 細胞診:18/45(40%)
髄液 PCR:3/11(27%)
病変部位の生検:23/26(88%)
剖検のみでの診断がついた症例:4(8%)

・確定診断:神経生検,剖検 → 腓腹神経以外は後遺症の可能性
・MRI 所見 :神経腫大や造影効果 → 急性・慢性の神経炎,根神経炎でも類似した画像
・18FDG-PET にて神経走行に沿う対称性の高集積 → 臨床症状, 検査所見との対比が重要
・Neurolymphomatosis の診断は,神経生検・剖検による証明が必要とされてきた1)が,近年FDG-PET の有用性が報告されており, 本例においてもPET/CT が診断の大きな要諦となった.
・加えて治療効果や再発の判定を迅速かつ低侵襲に 評価できることは,PET/CT 検査の利点の一つと考えられた.

 

参考文献
1)Baehiring et al. 2003
2) Sigal et al. 2010
3) Tsutsumiuchi et al. 2010
4)Grisariu et al. 2010

 


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