 
  
| 尿崩症で発症したランゲルハンス細胞組織球症 diabetes inspidus in Langerhan’s cell histiocytosis(LCH) | 
| Langerhans 細胞組織球症 | 
・Langerhans 細胞組織球の増殖による肉芽腫性疾患
    ・好発年齢は 1〜15 歳 成人の報告例は30%以下
    ・男性にやや多い。
    ・骨に好発する。(80%)
    ・骨の他には肝臓、脾臓、肺、皮膚に多い。
  
| LCH の中枢神経病変 | 
・中枢神経病変は10〜50%の患者に認められる。
    ・中枢神経系では視床下部・下垂体系に好発する。
    ・中枢性尿崩症の原因となる。
    ・中枢神経病変が先行し、骨病変が遅れて出現する場合もある。
  
| 視床下部LCH の鑑別疾患 | 
Germinoma、他の炎症性・肉芽腫性疾患が鑑別となる。
    
・Germinoma
    ・下垂体炎
    ・サルコイドーシス
  
[Gerninoma]
    視床下部のGerminoma はLCH との鑑別は困難。
    下垂体の機能低下・下垂体前葉の腫大を伴う場合もある。
    臨床的には脳脊髄液中腫瘍マーカー(AFP、HCG)
    
[下垂体炎]
    病変の首座は下垂体〜下垂体柄
    硬膜や小脳テントの造影効果、涙腺の腫脹
    
[サルコイドーシス]
    病変の首座は下垂体〜下垂体柄
    脳室周囲白質病変、基底核の結節病変が特徴。肺・顔面病変を伴う。
| Germinoma vs LCH | Germinoma | LCH | 
| 中枢性尿崩症、T1WI で後葉の消失 | ○ | ○ | 
| 年齢(30歳代) | △〜× | △ | 
| 性別(女性) | ○(性差無し) | △ | 
| CT で高吸収 | ○ | △ | 
| T1WI 等信号、T2WI 高信号、変性に乏しい | ○ | ○ | 
| Gd 均一な増強効果 | ○ | ○ | 
| 骨病変無し | ○ | △ | 
| 拡散制限なし | × | △ | 
| 本症例のPoint | 
・若年者の中枢性尿崩症 → Germinoma, LCH を最初に考える。
    ・骨病変の無いLCHも20%程度存在する。
    ・拡散強調像も診断に有用である。
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