casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第348回症例 ≫ 症例:診断
第 348 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年11月28日]
症例5 60歳代 男性 : 右上腹部違和感。超音波にて巨大肝腫瘍を指摘された。
肝原発癌肉腫(肝細胞癌 + 骨肉腫)
carcinosarcoma of the liver

 

 肝原発癌肉腫

・上皮性悪性腫瘍(HCC/ICC)と明確な分化傾向を伴う肉腫成分の併存
・きわめて稀と考えられており、現在までに英文で約30例程度の症例報告
・ほぼ男性(女性例も少数)、高齢者に多い
・ウイルス性肝炎などHCCと共通のリスク
 —半数近くが日本からの報告というバイアスかも
 —本例は背景肝に慢性肝炎がみられたが、原因不明

・多能性悪性細胞から両方向に分化しつつ発生する説と、HCC(ICC)が肉腫にtransformする説があり、後者が優位
・予後はきわめて不良で、報告例のほぼ全例の生命予後は1年以内

肉腫様肝癌との異同
・肉腫様肝癌(sarcomatoid HCC, sarcomatous HCC)はHE染色での形態像は肉腫様の紡錘形を呈するが、免疫染色や鍍銀染色では本質的に上皮性
・癌肉腫は免疫マーカーで間葉系の動態を示し、特定の肉腫(骨肉腫、軟骨肉腫、横紋筋肉腫など)への分化が確認できるものに対して診断される
・癌肉腫はTAEとの関連は知られていない

いわゆる癌肉腫”と”真の癌肉腫”
・古来細胞形態のみで癌と肉腫様細胞が併存するものが癌肉腫として報告
・ほとんどは分化度の低い癌腫が紡錘形形態をとっているのみで、鍍銀染色や免疫染色では癌と同様の挙動→”いわゆる癌肉腫”
・ごく一部の症例が特定の肉腫分化や間葉系マーカー陽性→”真の癌肉腫”
・肝臓においては肉腫様肝癌が”いわゆる癌肉腫”に近い概念(全体が肉腫様なら”偽肉腫”)


戻る