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第 348 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年11月28日]
症例8 60歳代 女性 : 左上肢の一過性単麻痺入院中、掻痒を伴う腋窩紅斑が出現
血管内悪性リンパ腫
intravascular lymphoma

 

 橋病変の鑑別診断

・PRES
・橋中心性髄鞘崩壊症
・陳旧性梗塞,慢性虚血性変化
・神経好中球病(Behcet病、Sweet病)
・脳幹脳炎
・DRPLA
・Capillary telangiectasia

 

 多発微小梗塞の鑑別診断

・心原性脳塞栓
・好酸球増多症
・Intravascular lymphoma
・コレステロール塞栓症
・Trousseu症候群
・脳脂肪塞栓

 

 IVL(intravascular lymphoma)

・小〜中血管内腔にリンパ腫細胞が増殖する、節外性非ホジキンリンパ腫のまれな一亜型
・ほとんどがDLBCL
・高齢者に好発
・中枢神経、皮膚、骨髄、肝脾、副腎、消化管、腎、前立腺、リンパ節などを侵す
・発熱、多彩な神経症状(neurological deterioration)、呼吸不全
・貧血、血小板減少、LDH高値、sIL2-R上昇

診断
・生検による病理診断が必要
・生検部位
 皮膚・・・侵襲性が低く、検体量が多い
 筋肉・・・侵襲性・検体量ともに皮膚に劣る
 脳・・・侵襲性が高い
 骨髄・・・侵襲性は少ないが、検体量が少ない
   腫瘍を証明できても、血管内・類洞内という局在を証明できないことが少なくない
 肺・・・TBLBやVATS
 肝生検、脾摘
 副腎

-皮膚生検-
・1999年、剖検例で、外見上は正常の皮膚に病変の浸潤があった
・2003年、外見上正常の皮膚からの生検によるIVLの生前診断に初めて成功
・6症例(26部位)のランダム皮膚生検検体中23検体(88%)で陽性
・12症例のランダム皮膚生検のうち10例で陽性
皮膚生検の方法
・皮膚病変があるなら陽性率が高いので病変部から
・皮疹がないなら上腕・腹部・大腿など少なくとも3か所以上からの生検
・真皮だけでなく、深層も含めて(皮下脂肪織の血管内に腫瘍が見られる頻度が高い)
・比較的大きめの検体を採取

画像所見の特徴
・11人のIVL患者のうち9人に頭部MRIで異常あり
・➀infarct like lesions,➁nonspecific white matter lesions,➂meningeal enhancement,➃masslike lesions,➄hyperintense lesions in the pons on T2WI
・9人のうち7人が上の単一の異常,2人が複数の異常
・➀〜➂が2人ずつ、➃が1人、➄が5人
・➄の特徴:左右対称、中心性。橋被蓋や腹外側は保たれる。拡散制限や造影効果はなし。化学療法に反応

 

 Take Home Points

・高齢者に発生した亜急性〜慢性の進行性の多彩な神経症状、全身症状
・sIL2-RやLDHなどの血清学的な異常
・特徴的な神経画像所見

  を見たらIVLを鑑別に考える。皮膚など他臓器の所見もヒントになる

 

参考文献
BRAIN and NERVE 2011: 63(5); 451-8
J Med 107:169-176, 1999
Am J Med 114:56-58, 2003
Mayo Clin Proc 82:1525-1527, 2007
Ann Hematol 2011; 90: 417-21
AJNR 2012: 33; 292-6


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