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第 351 回 東京レントゲンカンファレンス[2014年4月24日]
症例5 60歳代 女性 : 右大腿骨頸部病的骨折に対し人工骨頭置換術施行。腫瘍性病変が疑われる。
原発性副甲状腺機能亢進症
primary hyperparathyroidism

 

 原発性副甲状腺機能亢進症

・病的な副甲状腺が副甲状腺ホルモンを過剰に分泌する疾患
・Caが骨から血液中に溶け出し、血中Ca値↑,尿中排泄↑,血中PTH↑
・M:F=1:2〜3
・散発性
 家族性:MEN、50歳までに100%発症
・骨病変型
 腎結石型
 不顕在型

骨病変型
1)骨吸収
  骨膜下吸収 比較的初期の病変
       示指・中指の中節骨・橈側,靭帯付着部直下
  皮質内吸収(cortical tunneling)
       皮質の内側から吸収→皮質厚減少、内側縁不整
  軟骨下吸収
  歯槽硬線吸収
  頭蓋骨脱灰 salt and pepper skull
2)褐色腫 Brown tumor
  境界明瞭な破壊性変化、多発もあり
  下顎骨、鎖骨、肋骨、骨盤に好発
3)関節変化
  侵食を伴う関節の破壊性変化…感染症や炎症性関節炎類似

副甲状腺病変
 ・単発性腺腫: 80〜85%:径はPTH値に依存。嚢胞形成、石灰沈着。
  過形成  : 12〜15%:ほとんどはMEN
  多発性腺腫: 2〜3%
  癌    : 1%:径大きい傾向。硬い。
 ・治療 腺腫 :摘出
     過形成:亜全摘あるいは全摘+自家移植
     癌  :摘出とリンパ節郭清

 

 鑑別診断

・ 炎症性関節炎、感染症
・ 多発性骨髄腫
・ 転移性骨腫瘍
・家族性低Ca尿性高Ca血症(FHH)
   外科治療無効
   副甲状腺のCa感受性受容体(CaSR)の非活性型変異
   尿中Ca排泄率の測定、CaSR遺伝子の確認

 

参考文献
・Taybi and Lachman’s Radiology of Syndromes, Metabolic Disorders and Skeletal Dysplasias. Lachman RS., 5th ed. p371

 


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