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第 352 回 東京レントゲンカンファレンス[2014年5月22日]
症例2 70歳代 男性 : 腹痛
壊死型虚血性大腸炎
gangrenous ischemic colitis

 

352-2

 壊死型虚血性腸炎:gangrenous ischemic colitis

・男女差なし、高齢者に多い
・左側結腸に多い
・高血圧、心疾患、脳梗塞、糖尿病などの動脈硬化性疾患を50-85%と高頻度に合併する
・血管因子と便秘・細菌などの腸管因子が複雑に関与して発症する
・壊死型は不可逆的で、手術の絶対的適応
・切除し得た場合で死亡率35-50%、切除をされなかった場合は死亡率100%とされる
・独立予後因子は発症から手術までの時間が24 時間以内であり、早期診断・緊急手術が救命率の向上につながる
・壊死型の早期診断には入院時のSIRS score が有用

造影CT 所見
<初期>
・腸管壁の造影増強効果の減弱 or 消失
・腸管壁の菲薄化
・虚血腸管の限局性拡張
・支配領域動脈内血栓(±)
<後期>
・腸管壁の造影増強効果の消失
・腸管壁肥厚、腸管壁内ガス像
・門脈内ガス像
・穿孔すると腹腔内遊離ガス像

◆SIRS(systemic inflammatory response syndrome)
診断基準(2 項目以上)
•体温<36℃ or >38℃
•脈拍数>90 /min
•呼吸数>20 /min or PaCO2<32 Torr
•WBC>12000 or <4000

◆血中乳酸値の異常高値(2.5mmol/l 以上)
画像所見に上記所見を併用することにより、診断能が向上する。



参考文献
・臨牀透析 vol.24 no.7 2008 245・1025
・加瀬ら:日本大腸肛門会誌 55:129-135, 2002
・田畑ら:日本腹部救急医会誌.2002;22:63-7
・上田ら:日救急医会誌 ,2013;24:141-8
・World Journal of gastroenterology 2008. Koutroubakis.

 


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