カルバマゼピン(テグレトール)による薬剤性過敏症症候群 DIHS drug-induced hypersensitivity syndrome |
鑑別 |
発熱、皮疹、肝脾腫、全身のリンパ節腫大
・反応性リンパ節腫大(サルコイドーシス、薬剤性…)
・悪性リンパ腫(IVL,AILT …)
・感染症
DIHS(drug-induced hypersensitivity syndrome) |
【特徴】
・限られた薬剤(抗てんかん薬など)内服後2〜6週後に発症する高熱・多臓器障害を伴う重症型薬疹
・薬剤中止後も遷延し、多くの場合発症2〜3週後にHHV-6の再活性化を認める
【原因薬剤】これらの薬剤にほぼ限られる
カルバマゼピン | フェニトイン |
ゾニサミド | ジアフェニルスルホン |
メキシレチン塩酸塩 | アロプリノール |
バルプロ酸ナトリウム | ミノサイクリン塩酸塩 |
フェノバルビタール | サラゾスルファピリジン |
ラモトリジン | ジルチアゼパム |
【疫学】
・原因薬剤を服用した症例の0.01~0.1%に発症
・年齢・性差なし
【症状】
・発熱、点状丘疹、掻痒感、リンパ節腫脹、無唾液症が初発
・Spike fever(+)
・顔面の浮腫、紅斑が下行性に広がる
・SjS/TENと異なり壊死性出血性病変を形成することはない
・薬剤中止後3日目でより重度の症状を示す傾向
【治療】
ステロイド
・40〜60mg/dayを数週かけて漸減
・急速な減量は症状の再燃に関与
IVIG 血漿交換
・低ガンマグロブリン血症を惹起する恐れ
【予後】
・致死率10%(肝不全か主因)
・長期的には腎不全
DIHS診断基準(2005) |
1.限られた薬剤投与後に遅発性に生じ、急速に拡大する紅斑。しばしば紅皮症に移行
2.原因薬剤中止後も2週間以上遷延
3.38度以上の発熱
4.肝機能障害
5.血液学的異常:a、b、cのうち1つ以上
a.白血球増多(11000/mm3)
b.異型リンパ球の出現(5%以上)
c.好酸球増多(1500/mm3)
6.リンパ節腫脹
7.HHV-6の再活性化
【多臓器障害合併症】
・肝障害、腎障害、糖尿病、肺炎、脳炎、甲状腺炎、心筋炎も生じうる
・重篤な合併症として劇症T型糖尿病、辺縁系脳炎が報告
まとめ |
・多小脳回に伴うてんかん発作とテグレトール投薬によるDIHS
・画像所見は非特異的であり、sIL-2Rも上昇することからリンパ腫との鑑別が問題となる
・薬剤投与後4週〜5週後の発熱・皮疹やリンパ節腫脹を伴う臓器障害があればDIHSの可能性も考える
参考文献
戻る |