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第 361 回 東京レントゲンカンファレンス[2015年6月18日]
症例1 40 歳代 男性 : 頭痛
顔面神経鞘腫
facial nerve schwannoma


 鑑別疾患

顔面神経鞘腫の疑い(膝神経節を中心とした)
鑑別:
・髄膜腫
・solitary fibrous tumor/hemangiopericytoma

 

 顔面神経鞘腫

一般事項
?・顔面神経のSchwann cell sheath から発生する稀な腫瘍
・側頭骨に及んでいる場合、側頭骨腫瘍の1%未満
・臨床症状:顔面神経麻痺、感音・伝音難聴、耳下腺腫瘤
・顔面神経症状のほか、近接する内耳神経症状など部位により様々な症状をきたすため、臨床診断が難しいことがある
Lawrence E et al. Radiology1999;213:364-368
Wiggins RH et al. AJNR2006;27:694-699

画像所見
・内部性状は通常の神経鞘腫と同様
・側頭骨内病変の場合は、顔面神経に沿った局在・顔面神経管の拡大などの解剖学的評価が重要となる
・良性を示唆するbony scalloping やremodeling が見られることがあるが、特異的ではない
Lawrence E et al. Radiology1999;213:364-368
Wiggins RH et al. AJNR2006;27:694-699

顔面神経の走行
部位による発生頻度
・小脳橋角-内耳道:50%
・迷路部:54%
・膝神経節:83%
・大錐体神経:25%
・鼓室部:54%
・乳様突起:33%
Wiggins RH et al. AJNR2006;27:694-699


 まとめ


側頭骨腫瘍の鑑別において、顔面神経の走行の理解が診断の一助となることがある

 


参考文献

  • Lawrence E. Radiology 213:364-368, 1999
  • R.H.Wiggins V. AJNR 27:694-699, 2006