シミター症候群 Scimitar syndrome |
Scimitar Syndrome |
・部分肺静脈還流異常症の一亜型
・右肺より下大静脈へ還流する Scimitar vein
・ほぼ全例が右側病変
・1〜3人 / 10万人、僅かに女性に多い(1.4倍)
・孤発性が多いが、一部遺伝性を示す
Scimitar vein
・右肺の一部 or 全体を横隔膜レベルの下大静脈へ還流。肝静脈・門脈・奇静脈への流入例もある
・心右縁を縦走する(⇒ Scimitar sign)
・LR shunt の原因であり、この程度が重症度を左右する
頻度の高い合併異常
・右肺低形成:⇒心臓の右側偏位
・右肺動脈低形成 (60%)
:低形成と分枝異常
・Anomalous systemic artery (60%)
:右肺底部 or 右肺全体を供血する。大動脈、下横隔動脈由来が多い
その他の合併奇形
・肺 肺分画症
分葉異常 (Bilobe without horizontal fissure) Horseshoe lung
・心臓 ASD, VSD, PDA, AS, TOF, etc.
・横隔膜の欠損、 Bochdalek hernia
・左上大静脈遺残、脊椎奇形、側弯 etc.
臨床病期による分類
Shunt 率や合併奇形の程度で発症時期・重症度が大きく異なる
Infantile form
重篤な心不全や肺高血圧を呈し、予後不良(Mortality: 45%)
心奇形の合併頻度が高い
Adult form
無症状、健診異常
軽い呼吸苦、易疲労、繰り返す感染や喀血
Shunt 率は低く(<50% が多い)、肺高血圧を呈さず、予後良好
治療
症状や合併症によって治療方法は大きく異なる
・Scimitar vein の血行改変
・Anomalous systemic artery の結紮、塞栓(肺高血圧の改善、予防)
・肺切除(持続する感染や喀血、著明な肺低形成、修復術後の閉塞)
・合併心奇形や分画症に対する手術
Adult form に対する治療適応
有症状例(肺高血圧、繰り返す感染など)
無症状だが、Qp/Qs ≧ 1.3〜1.5 LR shunt 率 ≧ 35%
類似疾患
Pseudo-scimitar sign
Meandering right pulmonary vein
Scimitar variant:Scimitar vein 様の蛇行した肺静脈が、左房のみ or 左房と下大静脈へ還流
AUSPV (Anomalous Unilateral Single Pulmonary Vein):右肺全体を単一の肺静脈が還流(左房へ)
孤発性、無症状
参考文献