クローン病に合併した大動脈炎症候群 aortitis syndrome in Crohn's disease |
Crohn病 |
診断基準
(1)主要所見
A. 縦走潰瘍
B. 敷石像
C. 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫
(2)副所見
a. 消化管の広範囲に認める不整形〜類円形潰瘍またはアフタ
b. 特徴的な肛門病変
c. 特徴的な胃・十二指腸病変
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班
高安動脈炎と炎症性腸疾患
・高安動脈炎では炎症性腸疾患が時に合併する。
・その中で潰瘍性大腸炎が多く、6.4%に合併するという報告がある。
・HLA-B52 が高安動脈炎と潰瘍性大腸炎の発症リスクであることが関与している。
Arthritis Rheumatol. 2015 Apr 30
・大動脈炎とクローン病には現在のところ共通の原因となるHLA は認められていない。
Crohn 病に合併した高安動脈炎の特徴
・TNF-α のような炎症性サイトカインが両者の合併に関連しているとされている。
・抗ヒトTNF-α モノクローナル抗体(レミケード,ヒュミラ)にてクローン病のコントロール良好でも高安病を合併することがある
・抗ヒトTNF-α モノクローナル抗体の二次的な血管炎の報告がある(これでは72%皮膚の血管炎であり、高安病の合併はなかった)
−他の炎症性サイトカインが病因の可能性。
−クローン病の治療域では高安動脈炎の抑制にならないかもしれない(ステロイドが有効)
Nagaaki Katoh、Inter Med 49: 179-182, 2010
・大動脈基部に好発し、大動脈弁置換が必要となることがあるとされているが、下行大動脈や腹部大動脈の病変の報告も散見される
・大動脈破裂のリスクもあり早期発見が大事
・強直性脊椎炎を合併する症例に多いとされている。
Ibrahim Ö zsö yler, Heart Vessels (2005) 20:164−166
Sabeen Anwar,HSSJ (2010) 6: 206−213
結語 |
炎症性腸疾患では潰瘍性大腸炎だけでなく、クローン病でもの高安動脈炎合併することがあり、症状出現時には注意する。
参考文献