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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第363回症例症例:呈示
第 363 回 東京レントゲンカンファレンス[2015年10月22日]
症例3 60歳代 男性
冠静脈洞左房交通
unroofed coronary sinus ASD

 

 画像所見

胸部単純写真
・両側上肺野の血管陰影の増強
・軽度心拡大
・右室の拡大が示唆される

CT造影早期相 軸位像
・肺動脈主幹部は上行大動脈とほぼ同じ径を示し、肺動脈の拡大を認め、肺高血圧が示唆される。

     
CT造影早期相 軸位像
・右室拡大。
・冠静脈洞の右房合流部直前は拡張している。
・冠静脈洞の右房合流部直前は造影効果を認めるが、
冠静脈は造影効果を認めない。
  CT造影早期相 短軸像
・左心房と冠静脈洞の間に存在する冠静脈洞上壁が欠損している。
・冠静脈洞の右房合流部直前は拡張し、
 左心房→冠静脈洞→右心房への交通が認められる 。
図  

図

Cine MRI短軸像
・左心房と冠静脈洞との交通を認め、冠静脈洞は拡張している。

 

図
体肺流量比(Qp/Qs) = 8771/4140 = 2.1
左-右シャントを疑う。

 

診断:心房中隔欠損症 冠静脈洞欠損型(unroofed coronary sinus ASD)

 

 unroofed coronary sinus ASD

・心房中隔欠損(ASD)の稀なタイプ(全ASD中1%未満)
・左心房と冠静脈洞の間に存在する冠静脈洞上壁が欠損した結果、左心房→冠静脈洞→右心房への左-右シャントが形成される。
・左上大静脈遺残や他の心奇形の合併が報告されている。
・幼少期には症状がないことも多く、学校検診などで偶然発見されることも多い。
・左-右短絡量が多い場合には、肺高血圧が進行しチアノーゼを生じたり、心房細動などの不整脈を生じる。
・術前診断が困難であり、しばしばASDの他の病型と誤診され、術中に開口部の位置が同定されることもある。
・治療:開口部閉鎖術

 



参考文献

  • 先天性心疾患の血行動態 (文光堂)
  • Sanket S. Shah et al. Imaging of the Coronary Sinus: Normal Anatomy and Congenital Abnormalities.RadioGraphics 2012; 32:991-1008

     

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Moderator: 上原 崇弘