組織球性壊死性リンパ節炎(菊池・藤本病) histiocytic necrotizing lymphadenitis(Kikuchi-Fujimoto disease) |
所見のまとめ
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・両側頸部に多数の腫大リンパ節(最大短径16mm)
・内部の造影効果は均一
・癒合傾向や周囲脂肪織混濁はなし
・両側腋窩、上腹部、鼠径リンパ節は目立たない
・左優位に両側頸部、両側腋窩、上腹部、鼠径のリンパ節に集積亢進
・リンパ節以外に明らかな異常集積なし
・腋窩、上腹部のリンパ節は比較的小さい割に強い集積
頸部リンパ節腫脹からの鑑別疾患 |
・腫瘍性病変
ー リンパ増殖性疾患(悪性リンパ腫/Castleman病など)
ー 転移性
・感染性
ー 化膿性リンパ節炎
ー 結核性
ー 猫ひっかき病
ー 伝染性単核球症
ー HIV感染
・自己免疫性
ー サルコイドーシス
ー 木村氏病
ー 菊池病
ー 川崎病
悪性リンパ腫、リンパ増殖性疾患も否定できず右頸部リンパ節摘出術が行われた
【病理診断】菊池・藤本病 Kikuchi-Fujimoto disease(KFD)(組織球性壊死性リンパ節炎)
菊池・藤本病Kikuchi-Fujimoto disease(KFD) |
・日本人をはじめ、アジア人の若年女性に好発
・頸部リンパ節腫脹は56-98%
・Self-limiting disease
・白血球減少、貧血、LDH上昇をきたし得る
・遷延する発熱は30-50%
・体重減少、盗汗などを呈することもあり、
悪性リンパ腫との鑑別が問題
Kim JE. Korean J Pediatr 57(5):226-231, 2014.
KFDのFDG-PET
・KFDの患者22人、619個の代謝亢進(SUVmax > 3)を認めるリンパ節での検討
・分布頸部21人(両側18人、右2人、左1人)腋窩10人、縦隔9人腹部17人、骨盤内6人、鼠径部3人
・440/619リンパ節がCTで短径 < 10mm
・比較的小さいサイズながらも代謝亢進したリンパ節を全身性に認めることがある
Kong E. Nuklearmedizin 52(3):101-6, 2013.
・KFD 8人と悪性リンパ腫 9人での比較に
おいて、SUVmaxでの有意差はなし
・リンパ節外への集積亢進はKFDでは見られず、鑑別に有用
・Cor SUVで比較すると、KFDとaggressive NHLとの間で集積の程度に有意差はない
・KFDはindolent NHLよりも有意に集積が強い
・リンパ節のサイズに有意差はないが、KFDで小さい傾向にはある
Tsujikawa T. Clin Nucl Med. 36(8):661-4, 2011.
Take home message |
・菊池・藤本病は
ー
頸部だけでなく全身のリンパ節にFDG集積亢進を示し得る
ー
リンパ節外へのFDG集積亢進がない
ー
小さいリンパ節に強いFDG集積
・小さい割にFDGの強い集積を示すリンパ節が全身に分布してる症例では、一度は菊池・藤本病を考慮
参考文献
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