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第 366 回 東京レントゲンカンファレンス[2016年2月25日]
症例6 30歳代 男性 : 発熱、嘔気、頭痛
EB ウイルス関連血球貧食性リンパ組織球症
EBV-associated hemophagocytotic lymphohistiocytosis(EBV-HLH)


 鑑別診断

・リンパ増殖性疾患:白血病、悪性リンパ腫など
・肺水腫
・サルコイドーシス
・癌性リンパ管症
・カポジ肉腫
・過敏性肺臓炎
・特発性肺線維症
・塵肺
・アスベスト肺
・ベリリウム肺


 血球貪食性リンパ組織球症:hemophagocytic lymphohistiocytosis(HLH)

・血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome)と同義。
・原発性(遺伝子異常)と、感染症やリンパ腫、自己免疫疾患などに続発する二次性に大別。
・本邦ではEBV-HLHが最多であり、重篤(致命率18-24%)*。
*Roman Leonid Kleynberg. Clinical Advances in Hematology & Oncology. 2012; 10: 726-732・EBV-HLHでは、典型的な抗体反応を示さないことがあり、Real-time PCR法によるEBV-DNA定量が必要
・血球貪食と高サイトカイン血症に伴う多彩な症状:
 持続する発熱、皮疹、肝脾腫、リンパ節腫張、出血症状、けいれん、呼吸障害、肝障害、腎障害、下痢、浮腫


Histiocyte Society
 HPS/HLH診断基準(HLH-2004改訂案)
以下のいずれかを満たせばHPS/HLHと診断される。
1.HPS/HLHまたはXLPの分子診断が得られる。
2.Aの4項目中3項目以上、Bの4項目中1項目以上を満たす。C項目はHPS/HLH診断を支持する。

A項目 B項目 C項目

 1)発熱
 2)脾腫
 3)2系統以上の血球減少
 4)肝炎様所見

 1)血球貪食像
 2)フェリチン上昇
 3)可溶性IL-2R上昇
 4)NK細胞活性の低下
   または消失

 1)高TG血症
 2)低FBG血症
 3)低Na血症

 


EBV
感染症とリンパ増殖性疾患
・EBV の初感染:伝染性単核球症.
・分子生物学や移植医療などの進歩に伴い、感染、免疫、腫瘍などの種々の病態における EBV の関与が明らかになった。
⇒ EBVが関与するリンパ増殖性疾患を‘EBV関連リンパ増殖性疾患’としてとらえる*。
*河 敬世 ウイルス 2002;52: 257-260

EBV-associated  LPD

【B cell LPD】 【T/NK cell LPD】

・Burkitt’s  lymphoma
・Posttransplant  LPD
・AIDS-related LPD
・XLP
・Pyothrax-associated lymphoma (PAL)

・EBV-associated HLH
・Chronic active EBV infection
・Periferal T cell lymphoma
・Mosquito allergy
・Chronic granular LPD
・Aggressive NK-cell leukemia
・Nasal/nasal type T/NK cell lymphoma

河 敬世 ウイルス 2002;52: 257-260

EBV-HLHの病態
発熱、臓器障害etc.
血球貪食、汎血球減少
Yong-Min Tang. The Scientific World Journal.  2011;11: 697-708

HLHの画像所見
【胸部】
・Alveolar interstitial opacities
・胸水
・縦隔リンパ節腫大
Nancy E. Fitzgerald. Pediatr Radiol. 2003;33: 392-401
Amélie Seguin. CHEST. In Press. doi:10.1016/j.chest.2015.11.004

【腹部】
・肝脾腫
・胆嚢壁の肥厚
・腎臓の高エコー化 
・腹水
剖検では各臓器へリンパ組織球の浸潤がみられる*
Nancy E. Fitzgerald. Pediatr Radiol. 2003;33: 392-401
*Ost A. Histopathology. 1998;32:310-316
Matthew P. Strout. Nat Rev Clin Oncol. 2010;7: 415–420

【頭部】
・脳室周囲白質の異常信号/濃度域.
・脳体積の減少とextra-axial fluid spaceの拡大.
・軟髄膜や血管周囲腔の増強効果.
・出血やPRES.
Nancy E. Fitzgerald. Pediatr Radiol. 2003;33: 392-401

治療
・重篤な疾患であり、可及的速やかに治療を開始する。
・早期治療により転帰が改善するという報告も。
・HLH-2004プロトコール
 — 多剤併用療法:Dex、ETP、CyA
 — その他支持療法:MTX髄注、IVIG
 — 感染症予防:抗真菌薬、ST合剤、広域抗菌薬
・EBV-HLHは難治性であり、造血幹細胞移植が必要となることも。
Helen E. Heslop. Blood. 2009;114

 

 結語

・EBVは種々のリンパ増殖性疾患に関与.
・肺胞性陰影と間質性陰影の混在、脾腫などの画像所見と、著明なLDH/フェリチン上昇や血球減少をみたときに、血球貪食性リンパ組織球症の可能性を示唆。
⇒早期診断/早期治療につながり、臨床に寄与できる。

 



参考文献

  • Nancy E. Fitzgerald. Pediatr Radiol. 2003;33: 392-401
  • Amélie Seguin. CHEST. In Press. doi:10.1016/j.chest.2015.11.004
  • Helen E. Heslop. Blood. 2009;114