レルミット・ダクラス病 Lhermitte-Duclos disease |
Cowden病 |
・多発性過誤腫症候群で常染色体優性遺伝の母斑症の一種で特有の皮膚所見と多発過誤腫を有する
・顔面や四肢末端の多発丘疹、口腔粘膜の乳頭腫症や、Lermitte-Duclos 病、
消化管ポリポーシスなど多臓器にわたる過誤腫、過形成を主体とする多彩な腫瘤性病変を示す
・悪性腫瘍の発生率が高い(乳癌85%、甲状腺癌 35%、腎細胞癌34%、子宮内膜癌28%、大腸癌9%)
・診断 遺伝子検査 PTEN 遺伝子変異の同定
・治療 病変に対する治療、癌検診
Lhermitte-Duclos病 |
・小脳半球に発生する緩徐な増大を示す小脳異形成性神経節細胞腫 (WHO 分類grade1)
・成人発症が多く、30〜40 代に多い
・PTEN 遺伝子の異常が見られ、約50%にCowden 病を合併
・片側性で左小脳半球に多く小脳虫部や脳幹に進展することもある
・腫瘍の増大による頭蓋内圧亢進症、水頭症に伴う症状を呈するが症状発現までに時間を要する
・治療 手術、症状に対する治療
Lhermitte-Duclos 病 画像所見
・CT では低濃度を示し、時に石灰化を伴う
・小脳の肥大、嚢胞形成を伴う小脳構築の変形(トラ柄の縞模様:tiger striped appearance)
・造影後拡張した静脈枝が腫瘍内部や表面に沿って走行
・拡散強調像で周囲実質と比較し、T2 shine-through を反映した高信号を示し、ADC 値の低下は認めない
・FDG-PET で高集積
鑑別診断 |
小脳梗塞
小脳炎
小脳異形成
神経節細胞腫
まとめ |
・偶発的に発見されたCowden 病に合併したLhermitte-Duclos 病を経験した
・縞状のパターンを示す造影効果を認めない小脳腫瘍を見た時、本例を鑑別に考慮し、
悪性腫瘍合併などに留意し、全身検索、定期的な経過観察が望まれる
参考文献