スエヒロタケによるアレルギー性気管支肺真菌症 allergic bronchopulmonary mycosis caused by Schizophyllum commune |
スエヒロタケ |
・スエヒロタケ(Schizophyllum commune)は真性担子菌(キノコ)の一種。
・南極大陸を除く全ての大陸に分布し、枯れ木や倒木などに腐生している。
・ヒトへの感染や定着する真性担子菌は少なく、本菌とヒトヨタケ(Coprinus cinereus)など、
ごく特定の菌種に限られているが、その大部分は本菌によるものである。
検査法
・本菌の胞子等が空気中に浮遊し、上気道、下気道へ一時的な吸い込みが起こる可能性があることから、
喀痰などから本菌が分離されても、そのまま確定診断とはならない。
・培養された糸状菌と対照株を用いて交配試験を行い、独特な子実体の形成を確認する。
・血清中の抗体測定も有力な補助診断法。
アレルギー性気管支肺真菌症 |
・拡張した気管支内に定着し、T型あるいはV型アレルギー反応による気管支粘液栓の形成、
無気肺、好酸球性肺炎、気管支喘息などを引き起こす。
・陳旧性肺結核など、気道の防御機能が局所的に低下する病態を基礎にもっている症例が多い。
・キノコ類との接触など、本菌を吸入しやすい環境が疾患に関与するという報告はない。
・性別は1:5と女性に多く、年齢は中高年に多い。
・治療として、ステロイド、抗真菌剤や気管支鏡下での粘液栓除去などが行われているが、標準的治療は確立していない。
Hyperattenuating mucoid impaction |
・骨格筋より高いCT値を呈する粘液栓。
・アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の約20〜30%に認める。
・カルシウム塩、鉄、マンガンなどの金属塩や高タンパク濃度の存在が関与している可能性が報告。
・スエヒロタケによるアレルギー性気管支肺真菌症での報告は少ない。
参考文献