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第 368 回 東京レントゲンカンファレンス[2016年5月19日]
症例4 30歳代 男性 : 左示指腫瘤
傍骨性骨軟骨異型増生
bizzare parosteal osteochondromatous proliferation



 まとめ

・示指中節骨に発生した骨性腫瘤
・術後1年半で再発
・骨髄内から髄外に広がるが、脂肪髄との連続性はない
・軟骨成分を疑うT2WI高信号域

 

 鑑別診断

・反応性骨軟骨形成病変(BPOP, florid reactive periostitis, Turret’s exostosis)
・傍骨性骨肉腫
・骨軟骨腫

 

 Bizarre parosteal osteochondromatous proliferation (BPOP)

・Noraらにより1983年に報告
・手足の短管骨に好発する骨軟骨腫様の反応性骨軟骨形成病変
・外傷の関与が示唆
・Florid reactive periostitis、BPOP、Turret’s exostosisは一連の病態と考えられており、
 時期の異なる像を見ているものと考えられている
・最近特異的な染色体異常が報告され、腫瘍性病変の性質も示唆
・20〜55%と再発率が非常に高い

BPOPの画像所見
・骨表面に境界明瞭な石灰化、骨化を伴う隆起性病変
・骨皮質に連続するが、骨髄との連続性はない
・骨膜反応は認めない
・MRIで軟骨帽様のT2WI高信号の領域を伴うことがある
・非典型的な画像所見を呈した報告あり

 

 Take home point

・骨腫瘍には好発部位がある
・手は外傷の多い部位であり、手指に発生した傍骨性骨腫瘤を見た際には反応性骨軟骨形成疾患(BPOPなど)を鑑別に入れる
・BPOPは病理的に骨軟骨腫に類似する構造を持つが、画像所見が異なる場合にはdiscussionが必要



参考文献

  • S Chaabane et al. Bizarre Parosteal Osteochondromatous Proliferation: Nora's Lesion. Iran J Radiol. 2011 Sep;8(2):119-25. Epub 2011 Sep 25.
  • 嶋田 博文ほか. 手指に発生した傍骨性骨軟骨異形増生(Bizarre parosteal osteochondromatous proliferation)の2 例. 整形外科と災害外科 Vol. 62 (2013) No. 1 p. 182-187
  • 藤本肇. 新骨軟部画像診断の勘ドコロ: 268-269