成人型アレキサンダー病 Adult-onset Alexander disease |
MRIのまとめ |
・延髄から頚髄に及ぶ萎縮
・延髄(下オリーブ核)の両側性のT2WI高信号
・橋の萎縮はない
・白質病変はほぼ認めない
延髄を含む脳幹萎縮の鑑別 |
鑑別診断 | 特徴的な所見 |
Adult-onset Alexander disease AJNR Am J Neuroradiol. 2008;29(6):1190-6. |
延髄+上位頚髄の萎縮 |
Behcet disease J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2010;81(11):1292-3. |
橋の萎縮が強い Pan Afr Med J. 2015;20:51. |
Spinocerebellar degeneration | 脳幹+小脳萎縮 |
Adult polyglucosan body disease Brain. 2008;131:2321-31. |
延髄、脊髄の萎縮+白質病変 Ann Neurol. 2012;72(3):433-41. |
アレキサンダー病 |
・病理学的にグリア線維酸性蛋白(GFAP)などから構成されるRosenthal fiberの蓄積によって特徴づけられる
・原因遺伝子として、GFAP遺伝子が明らかになり、遺伝子検査が診断に必要
・発症時期により、以下の3型に分類
・乳児型(生下時〜2歳):最も高頻度
・若年型(2歳〜10代):
・成人型(10代以降):
・緩徐進行性の錐体路症状、運動失調、口蓋ミオクローヌス、自律神経障害など
アレキサンダー病の画像所見
1.前頭葉優位の白質病変
2.側脳室周囲のT2WIで低信号の縁取り
3.基底核、視床の異常信号
4.脳幹病変
5.異常増強効果
AJNR Am J Neuroradiol. 2001;22(3):541-52成人型はこれを満たさない症例が多い
成人型アレキサンダー病のMRI所見 | 頻度 |
著明な延髄の萎縮 | 37/42(88%) |
白質の異常 | 21/43(49%) |
脳幹の信号異常 | 16/36(44%) |
・延髄から頚髄に及ぶ萎縮かつ橋は保たれる所見→成人型に非常に特異的である
BMC Neurol. 2010;1:10-21.
成人型アレキサンダー病の臨床像
・平均発症年齢は30代後半
・家族内発症例(常染色体優性遺伝)は半数
BMC Neurol. 2010;1:10-21.・症状は多彩
・無症候性や、剖検で初めて確認された症例もある
・アルコール多飲などのストレスを契機に症状が進行
J Neurol Sci. 2013;331(1-2):152-4.
J Neurol Sci. 2015;354(1-2):131-2.
Take Home Message |
・臨床像が多様であり、診断を困難にさせるが、MRIの所見は共通である
・MRIの所見を以って、遺伝子検査を勧めることが可能で、診断できるカギとなりうる
参考文献