筋強直性ジストロフィー myotonic dystrophy |
所見のまとめ |
・側頭葉尖部皮質下白質、前頭葉白質の低濃度域
・びまん性の頭蓋骨肥厚
・前頭洞の拡大
・咀嚼筋を主体とする頭蓋底部や頸部の筋萎縮
筋強直性ジストロフィー(DM1) |
・成人の遺伝性筋疾患の中で最多(7/10万)。
・本邦ではほとんどが DM1。DM2 は1家系のみ。
・常染色体優性遺伝。
19番染色体ミオトニンプロテインキナーゼ遺伝子の非翻訳領域の CTG repeat 伸長により生じる triplet repeat 病。
・重症度は repeat 数により決定。
中核症状はミオトニア、全身筋力低下、多臓器障害
ミオトニア
骨格筋収縮後の弛緩が即座に生じず、筋強直の状態が長時間持続する。
筋力低下
・筋力低下は四肢遠位に強い(DM2では近位に強い)
・胸鎖乳突筋、咀嚼筋の萎縮が強い
・咽頭筋、喉頭筋が侵されると鼻声や嚥下障害
・筋萎縮により特徴的な斧状顔貌をきたす
多臓器障害
・中枢神経症状:知的障害、情緒異常
・眼症状:白内障、網膜色素変性症
・内分泌異常:性腺機能低下、糖尿病、下垂体機能不全、甲状腺機能異常
・心血管系:僧房弁逸脱、不整脈
・そのほか:禿頭(前頭部)、石灰化上皮腫・・・
頭部画像所見
・島回や側頭葉前方皮質下白質、大脳白質に T2WI/FLAIR高信号域が認められる。
側頭葉病変は U-fiber から始まり、白質全体へ。
島病変は外包に及ぶ。
・脳梁、基底核、視床などは侵されない。
・白質病変は罹患期間と相関し増悪。
・大脳鎌石灰化。
・頭蓋骨肥厚
・前頭洞拡大
・石灰化上皮腫
・白内障術後性変化
・咀嚼筋、胸鎖乳突筋を始めとする筋萎縮
画像上の鑑別診断 |
頭蓋骨肥厚をきたす病態
・特発性(前頭骨内板肥厚)
・脳室シャント造設後
・抗てんかん薬
・大理石骨病
・線維性骨異形成
・Acromegaly
・貧血(髄外造血)
・Paget 病
側頭葉尖部に異常信号をきたす疾患
・CADASIL/CARASIL
・Megalencephalic leukoencephalopathy with subcortical cysts
・Mankes 病
・ALS-D
・神経梅毒
・Aicardi- Goutieres 症候群
・前頭側頭葉変性症
まとめ |
・典型的な画像所見を呈した筋強直性ジストロフィーの症例を呈示した。
・脳の所見に加え骨や軟部組織の所見が診断に有用で、CTのみでも診断可能と考えられた。
参考文献