BCG 関連リンパ節炎 Bacille Calmette-Guérin lymphadenitis |
BCGワクチン(Bacille de Calmette et Guerin) |
・ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)を長期間培養を繰り返すうちに、人に対する毒性がない抗原性だけが残った結核菌
・乳幼児結核の予防、重症化の予防に有効
・接種部位:上腕外側中央
・標準的接種:生後5ヵ月〜8ヵ月
(生後1歳に至るまでの間に接種すること;平成25年度より)
BCG接種後副反応について
・0歳児が84.5%
・男女比 2:1
・本邦では150件/年
・10371件/15億回
・腋窩リンパ節腫脹(50%)
・皮膚結核様病変(26%)
・接種部位の膿瘍・潰瘍(6%)
・骨炎、骨膜炎(6%)
・全身播種性BCG感染症(1%)
・その他
厚生労働省予防接種後副反応報告書2008
BCG関連リンパ節炎 |
臨床的特徴
・BCGワクチン接種部位と同側の腋窩リンパ節(左側>右側)
・9割以上が接種後3ヶ月以内に発症する(2週間〜半年)
・発熱およびその他の全身症状がない
・病変部に圧痛がない
治療アルゴリズム
・基本は経過観察(直径30mm以下)
・化膿性は針吸引
・針吸引でも改善みられない場合は手術
BCG骨髄炎について |
[予防接種法]
以前:4歳未満
H17年:6ヶ月未満に引き下げ→骨髄炎の増加
H25年:1歳未満に引き上げ
・長管骨への発症が多い(約6〜7割)
・全身状態が重篤性にやや欠ける
・骨破壊像のわりに骨膜反応が弱い
・抗菌薬への反応が乏しい
Pediatric osteomyelitis: Imaging clues and differential diagnoses
Akari Makidono, Kazutoshi Fujita, Tatsuo Kono, Gen Nishimura
“For Your Information“
・アメリカをはじめ、諸外国(ドイツ、スイス、オランダ、スウェーデン、スペイン、チェコなど)では
BCGの予防接種を行っていない国も多数ある。
・乳幼児結核の予防には有効だが、成人の結核を減少させるわけではない。
・ツベルクリン反応で陽性が出てしまうため、結核の診断が遅れる。
Take home message |
・0〜1歳児の腋窩腫瘤をみたら、BCG接種歴を確認する。
・左側に多い(一般的に左腕に接種する。)
・BCG関連リンパ節炎は多くは数カ月で自然に縮小・消失 する。直径30mm以下では積極的治療は不要である。
参考文献