Lemierre 症候群 Lemierre syndrome |
Lemierre 症候群:Lemierre syndrome |
@ 背景
(1) 歴史的経緯
・1936年にLemierreが報告:健康な若年者に多い。抗生剤の登場以前であり、死亡率90%
・抗生剤の登場により、激減:“forgotten disease”と呼ばれた
・近年、増加傾向:上気道炎の治療に抗生剤を使用しない、耐性菌の増加、単に論文報告が増えただけなど様々な原因が考えられている
(2) 診断基準の混乱
・様々な診断基準1):厳しいものから、緩いものまで
“様々なLemierre症候群”が存在
・診断基準の1例
Riordanの基準1)
1) 4週間以内の先行する口腔咽頭疾患
2) 血栓性内頸静脈炎 or Fusobacterium necrophorum/Fusobacterium spの同定
3) 転移性病変
1) Riordan T. Clin Microbiol Rev. 2007;20:622-659.
A 概念
(1) 先行感染
・部位2):頭頸部〜その他の領域 狭いところから、広いところまで
頭頸部
咽頭・扁桃(67%)
胸部(25%)
喉頭
耳鼻科領域・・・中耳/乳突洞 副鼻腔
眼窩
その他の領域
消化管
口ピアス
2) Karkos PD. Laryngoscope. 2009;119:1552-1559.
・起因病原体:細菌
Fusobacterium necrophorum
嫌気性のグラム陰性桿菌
口腔内、上気道、腸管などの常在菌
起因菌では最多
その他の細菌
起因菌を同定できない場合あり
抗生剤の使用?
・治療:抗生剤
・画像診断
先行感染部位の同定
CT/MRI
扁桃腫大(膿瘍) 咽後膿瘍
副鼻腔炎 乳突洞炎 耳下腺炎
(2) 内頸静脈の血栓性静脈炎
・先行感染部位から内頸静脈に波及する経路:不明
静脈
筋膜
リンパ路
・治療
抗凝固療法:議論あり
・画像診断3)
CT
非造影・・・血栓が高吸収
造影・・・静脈内の造影不良域
静脈壁に一致したリング状増強
静脈拡張
3) 百島 尚樹. 耳鼻臨床. 2001;94:1033-1037.
US
新鮮血栓は低エコー
静脈の圧迫不良
MRI
T1WI, T2WIで血栓が高信号
(3) Septic emboli
・頻度4)
肺 79-100%
関節 13-17%
4) 宇津木 春枝. 呼と循. 2012;60:433-437.
・画像診断
遠隔感染巣の同定
胸部単純レントゲン写真
肺野の多発結節影 胸水
CT
肺の多発結節・空洞性病変 肝・腸腰筋膿瘍
Conclusion |
・Lemierre症候群の1例を報告した
・単純CTで血栓の高吸収域を見逃さない
・Septic pulmonary embolismは頻度の高い合併症である
・様々な定義があることに注意する
参考文献