膀胱傍神経細胞腫 paraganglioma of bladder |
画像所見 |
画像所見のまとめ MRI
・膀胱頂部の粘膜下腫瘍
・T2強調像で比較的高信号
・出血を伴っている
・出血のため造影効果の評価は困難
画像所見のまとめ CT
・単純CTでは非特異的な軟部結節
・中心部に小さな石灰化?
・造影CTで比較的明瞭な増強効果
膀胱の傍神経節腫
paraganglioma of bladder
経過
・MRIで傍神経節腫の疑い、全身麻酔下に生検(TUR-Bt)
・易出血性、一過性に血圧上昇あり、218/149mmHgまで上昇
・その後の摘出(膀胱部分切除術)では 問題なく終了
尿中ホルモン検査
アドレナリン:0.05ng/mL(0〜0.10)
ノルアドレナリン:0.66ng/mL↑
(0.10〜0.50)
ドーパミン:0.02ng/mL(0〜0.03)
▼ I-123-MIBG 全身planar |
▼ I-123-MIBG SPECT横断像 | ▼ I-123-MIBG SPECT冠状断像 |
▼ 生検 H-E染色 | |
・腫瘍細胞が多数の胞巣を形成 ・Zellballen配列 |
・胞巣の周囲に血管線維性隔壁 |
▼ 摘出標本 肉眼像 | |
○:腫瘍部分 | |
▼ 摘出標本 | |
chromogranine A染色 ・胞巣部分に一致して陽性所見あり |
synaptophysin染色 胞巣部分に一致して陽性所見あり |
膀胱傍神経細胞腫:paraganglioma of bladder
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【概念】
・膀胱排尿筋内の交感神経叢に存在するクロム親和性細胞由来 → 粘膜下腫瘍
・膀胱壁のどこにでも生じうる
・膀胱腫瘍の0.05%以下
・傍神経節腫の全体の0.1%
【疫学】
・性差:女性にやや多い
・幅広い年齢層に発生(10〜78歳)
・MENU型、von Hippel-Lindau病、Sturge-Weber病、神経線維腫症T型、結節性多発症、Carney3徴(傍神経節腫、肺軟骨腫、GIST)に合併することあり
【臨床症状】
・カテコラミン分泌による血圧上昇、頭痛、動悸、頻脈、発汗など
・膀胱発生の場合は約半数で排尿時に症状誘発、一過性意識消失も
・約27%の症例はホルモン活性なし
・膀胱発生ではしばしば血尿も認められる
【画像所見 CT】
・境界明瞭な類円形の軟部腫瘤
・しばしば内部に出血や壊死を伴う
・10%にリング状の辺縁石灰化
・造影剤による濃染(dynamic造影では早期から)
【画像所見 MRI】
・T1強調像:低〜淡い高信号
・T2強調像:比較的高信号
・大きいとsalt & pepper appearance
・ADCは低下傾向
・CTと同様に造影剤により濃染
【画像所見 I-123-MIBGシンチ】
・感度83〜100%、特異度95〜100%
・感度 MRI 88% > MIBG 64%の報告
・全身の転移検索に有用:副腎外で悪性5〜18%、病理で良悪性の判別は困難
【病理】
・豊富な細胞質をもつ好酸性腫瘍細胞が 多数の胞巣を形成 = Zellballen配列
・胞巣周囲に血管線維性隔壁あり
・腫瘍細胞はchoromo-granine A,synaptophysin,CD56,NSE陽性
・隔壁はSー100蛋白陽性
膀胱粘膜下腫瘍の鑑別 |
・平滑筋腫・・・T2強調像で低信号
・神経線維腫・・・T2強調像でtarget sign
Take Home Message |
・T2強調像で高信号を示す膀胱粘膜下腫瘍→傍神経節腫を鑑別に挙げる
・不用意な生検、TUR-Btで大量出血や 高血圧発作を起こす可能性があるため、本症の可能性を臨床医に示す事が重要
参考文献
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