里吉病 Satoyoshi syndrome |
里吉病 |
・1963年 里吉らが報告
・進行性の有痛性筋痙攣、脱毛、下痢が3徴
・3つそろうまでに10〜20年かかることも
・現在までの報告数:60数例
剖検例の病理所見(1978)
・消化管病変(胃、十二指腸、小腸、大腸)
–大小不同の隆起性病変
–深在性嚢胞
–粘膜上皮の萎縮、脱落
–粘膜固有層から粘膜下層の炎症細胞浸潤
→"Gastroenterocolitis cystica polyposa"
(Cronkhite Canada synd.)
・非遺伝性
・下痢、脱毛、皮膚色素沈着、爪甲萎縮
・消化管ポリポーシス(過誤腫性ポリープ)
疫学
・18歳以下に多い(平均10.9歳)
・成人発症あり(11例)
・男女比 約1:2
・日本以外にヨーロッパ、アメリカ大陸などからも報告あり
症状
・進行性の有痛性筋痙攣
–激痛
–1日数回〜数百回
–下肢から上行性に進行
–骨変形、骨折(特に小児)
・下痢
–1日数回〜10数回の水様便
–止痢剤に反応しない
・脱毛
–全身に及ぶ
血液検査所見
・エストロゲン低下(月経異常:女性ほぼ全例)
・耐糖能異常
・Hb低下
・蛋白低下
・自己抗体陽性例の報告
–抗アセチルコリン抗体
–抗核抗体
・自己免疫疾患との合併例の報告
–SLE
–橋本病
→自己免疫異常の関連が考えられている
治療
・ダントロレンナトリウム(筋弛緩剤)
–筋痙攣のほか、下痢にも有効
・グルコン酸カルシウム
・ステロイド製剤
・ガンマグロブリン製剤
・免疫抑制剤
・初期の10例は10年以内に死亡した
–筋痙攣による呼吸不全
–吸収不良による栄養障害
・近年は予後改善(早期発見、治療法の確立により)
Take home messages |
・里吉病:有痛性筋痙攣、脱毛、下痢を主症状
・消化管に多発する嚢胞性、隆起性病変
・有効な治療法がある(ダントロレン)
参考文献