肺吸虫症 paragonimiasis |
肺吸虫症 |
・本邦では近年各地で散発的に発生
・東南アジアを中心とする外国人居住者の増加、ジビエ料理ブーム
・本邦での肺吸虫症の年間新規感染者50例近いと推測
<ウェステルマン肺吸虫症 paragonimiasis westermani>
・体長は7〜16mm、体幅4〜8mmの成虫
・感染経路
▶第2中間宿主であるモクズガニ、サワガニの生食
・ケジャン(生カニの醤油漬け;韓国料理)、
・ソムタムプー(生カニの塩漬けとパパイヤのサラダ;タイ料理)
・モクズガニの老酒漬け(中華料理)
▶待機宿主であるイノシシ肉の生食、シカ肉
・生活史
経口的に感染したメタセルカリア(被嚢幼虫)は小腸で脱嚢
→小腸壁を貫通して腹腔内へ
→腹直筋内に侵入・発育
→再度腹腔内に戻る・・・感染後3週間
→横隔膜を貫いて胸腔に移行
→胸膜から肺内に移行・・・感染後3-4週間
→肺内に線維性組織による虫嚢を形成
→さらに4-8週間を経て産卵開始
・胸部肺吸虫症;喀痰・血痰、咳嗽、胸痛、胸水、気胸、呼吸困難
・肺外肺吸虫症;消化器、皮膚、脳、眼窩
画像所見
▶急性期〜亜急性期;多彩
胸膜肥厚、胸水
すりガラス影を伴う辺縁不明瞭な結節
胸膜から結節に連続する虫道
小葉間隔壁肥厚、気管支壁肥厚
気胸
虫体の移動に伴う病変の変化が見られる
腹壁脂肪織の濃度上昇、肝内の虫道
▶慢性期
境界明瞭な不整形腫瘤(虫嚢形成)・・・内部に壊死・空洞・淡い石灰化
<宮崎肺吸虫症 paragonimiasis miyazaki>
・体長7〜8mm、体幅約3〜4mmの成虫
・成虫はイタチ、テン、イノシシ、イヌ、ネコなどの肺に寄生
・感染源はサワガニ(淡水産カニ)の生食
・成虫に発育せず、幼虫が肺内外を移動(幼虫移行症)
・・・胸膜炎症状が生じやすい;胸痛、胸水、気胸が多い
・喀痰からの虫卵検出5%以下
・画像所見;ウェステルマン肺吸虫症とほぼ同様と考えられている
・検査
▶血液検査;白血球分画で好酸球増多、血清IgE上昇
▶画像診断
▶抗寄生虫抗体検査;血清、胸水、髄液中
▶喀痰、便、気管支肺胞洗浄液からの虫卵の同定←確定診断(23%)
・・・食事歴やこれらを併せ総合的に判断することが多い。
参考文献