(乳房)血管肉腫 angiosarcoma of the breast |
画像所見と鑑別診断 |
・増大傾向/乳房以外に原発巣となりうる病変はない
・境界が比較的明瞭な腫瘤/石灰化・脂肪なし
・内部はほぼ均一
・T2WI 著明高信号
・内部に出血・venous lake・flow void あり
・非常に強い造影効果(綿花状)
上皮性腫瘍 ・乳頭腺管癌 ・充実腺管癌 ・硬癌 ・粘液癌 ・乳管内乳頭腫 |
非上皮性腫瘍 ・血管腫 ・血管脂肪腫 ・PASH ・血管肉腫 ・間質肉腫 |
混合腫瘍 ・葉状腫瘍 ・癌肉腫 その他 ・転移性腫瘍 ・過誤腫 |
原発性乳房血管肉腫 |
・原発性乳房血管肉腫
・乳房悪性腫瘍のうち0.04%。
・好発年齢: 30-40s。
・身体診察:急速に増大する腫瘤。
病変近傍の皮膚が青く変色(全体の1/3)。
・治療:外科切除、放射線化学療法など。
・予後:5年生存率は低悪性度で76%、高悪性度で15%。
骨、肺、肝臓に転移が多い。
Glazebrook KN, Magut MJ, Reynolds C, et.al: Angiosarcoma of the breast. AJR Am J Roentgenol. 2008 ;190:533-8
MMG | 境界不明瞭な石灰化を伴わない腫瘤、またはFAD*1,2 |
US | 境界明瞭or不明瞭な高エコーを伴う腫瘤、または低〜高エコーが混在する構築の乱れ。ドップラーでは血流の亢進。*1,2 |
MRI | T1WI低信号の内部に高信号(出血やvenous lake)、T2WI高信号。*1,2 動脈性の強い不均一な造影効果、遅延相でのwash out、太い流出血管(特に高悪性度の腫瘤で所見が顕著)。*1,2 |
PET | まとまった研究はない。*1 |
1) Glazebrook KN, Magut MJ, Reynolds C, et.al: Angiosarcoma of the breast. AJR Am J Roentgenol. 2008;190:533-8.
2) Yang WT, Hennessy BT, Dryden MJ, Valero V, Hunt KK, Krishnamurthy S, et.al: Mammary angiosarcomas: imaging findings in 24 patients. Radiology. 2007;242:725-34.
二次性乳房血管肉腫
・二次性乳房血管肉腫 Secondary angiosarcoma of the breast
・リンパ浮腫関連皮膚血管肉腫 lymphedema-associated cutaneous angiosarcoma
・Stewart-Treves syndromeともいわれる。
・乳房切除・腋窩リンパ節郭清後、リンパ浮腫の強い上肢・胸壁に発生。*1
・乳房温存手術やセンチネルリンパ節生検が発達してからは頻度減少。*1
・放射線照射後血管肉腫 postirradiation angiosarcoma
・発生率は>0.3%。*1
・放射線照射から1,2年〜41年後(平均6年後)に発生する。*1
1) Glazebrook KN, Magut MJ, Reynolds C, et.al: Angiosarcoma of the breast. AJR Am J Roentgenol. 2008;190:533-8.
Take Home Message |
・乳房に富血管性で増大傾向の腫瘤性病変を認めた場合、原発性乳房血管肉腫を鑑別にあげる。
・鑑別に有用な所見:
増大傾向
T2WI著明高信号
内部の出血・venous lake・flow void
非常に強い動脈性の造影効果
・乳房血管肉腫には原発性/二次性があり、画像所見が異なる。
参考文献