リンパ脈管筋腫症 lymphangioleiomyomatosis |
画像所見 |
腹部単純写真 | |
膀胱の輪郭を越えており、腹水貯留所見。 |
腹部造影CT |
骨盤内を見ると腹水貯留があり、腸間膜脂肪織濃度上昇・腹膜肥厚もみられ腹膜炎所見。痛みの原因。 後腹膜領域に多房性嚢胞性腫瘤があり、左腎動脈直下〜外腸骨領域までの大動脈周囲に、左優位に広がっている。 嚢胞と嚢胞の間に介在するように充実性成分あり。 嚢胞内に貯留する液体の一部にfat-fluid levelあり。脂肪滴を含有。 |
T1WI横断像 ▼ in-phase /out-of-phase |
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別の日に行われたMRIのChemical shift imagingではout of phaseで信号低下あり、脂肪の含有が確認できる。
CTと比べて脂肪の量が減っている。 |
造影前脂肪抑制T1WI横断像/造影後脂肪抑制T1WI横断像 | |
嚢胞内容はT2で高信号、T1で低信号。 充実性部分は中等度の拡散制限と、造影増強効果あり。 |
T2WI横断像 / DWI (b=500)/ADC map |
所見のまとめ |
・後腹膜領域の多房性嚢胞性腫瘤
-大動脈〜左外腸骨動脈周囲に分布
-充実性、嚢胞性成分が混在。Fat-fluid levelあり
・腹水貯留、腹膜炎
・肺野びまん性 多発嚢胞性病変
・30歳代女性
⇒Lymphangioleiomyomatosis
結節性硬化症の有無
胸腹部CT/MRI:腎・肝・骨病変なし。
病歴:乳幼児期の葉状白斑・痙攣発作等なし。
皮膚:葉状白斑、 shagreen patch、血管線維腫等なし。
家族歴:特記事項なし。
頭部CT/MRI:所見なし。
→結節性硬化症は否定
診断 :孤発性 リンパ脈管筋腫症 (Sporadic Lymphangioleiomyomatosis)
Lymphangioleiomyomatosis |
・主に閉経前女性に発症する緩徐進行性疾患
・estrogenが関連⇒妊娠・出産で増悪
・肺間質+胸腹部リンパ管 病変、腎・肝AMLなど
・リンパ管周囲の平滑筋様細胞(LAM細胞)の増殖・嚢胞化
Lymphangioleiomyoma(後縦隔・後腹膜LAM)
・後縦隔、後腹膜(胸腹部大動脈・腎動脈周囲、腸間膜)
・胸管・腸リンパ本幹と連続すると→嚢胞内部が乳び液に
・Fat-fluid levelを有する内部低吸収な嚢胞(CT)
・嚢胞破綻→乳び液が腹腔内・胸腔内に漏出→胸腹膜炎
Abbott GF, et al. RadioGraphics. 2005;25:803-828.
Sporadic LAM vs. TSC-LAM | |
Avila NA, et al. Radiology. 2007;242:277–285 |
Take home point |
・後縦隔・後腹膜のリンパ嚢胞性病変+肺嚢胞病変
→Lymphangioleiomyomatosisを考える
→結節性硬化症所見の検索を
参考文献
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