黄色性肉芽腫性胆嚢炎 xanthogranulomatous cholecystitis |
所見のまとめ |
CT | ||
・胆嚢壁のびまん性肥厚、周囲脂肪織混濁 ・体部に4cm大の腫瘤 内部低吸収、一部脂肪濃度あり 辺縁部主体の増強効果 肝との境界は不明瞭、肝内胆管拡張なし |
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・胆嚢内に少量のガス ・近接する十二指腸の壁肥厚 |
十二指腸への穿通 |
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・有意なリンパ節腫大なし |
MRI
・T2WI:腫瘤中央部・・・中等度高信号 腫瘤辺縁部・・・軽度高信号
・DWI:拡散制限(+)
・CSI:腫瘤内に脂肪含有(+)
・造影dynamic:腫瘤辺縁部および隔壁様構造に造影増強効果(+)
術前診断
➀ 黄色肉芽腫性胆嚢炎(十二指腸第二部への穿通を伴う)
➁ 胆嚢癌
黄色肉芽腫性胆嚢炎 xanthogranulomatous cholecystitis(XGC) |
・慢性胆嚢炎の稀な亜型。
・胆嚢壁内に胆汁が漏出し、化学性炎症をきたす。
・病理学的には、泡沫組織球主体の肉芽形成が特徴。
・しばしばCA19-9の上昇。
・胆嚢癌との鑑別が問題となる。
・しばしば胆嚢癌を合併(7-14%)。
村松 勝.胆道 2010; 24: 219-226
画像所見
・胆嚢壁肥厚(びまん性 > 局在性)
・肥厚した壁内に、CTで低吸収、MRIでT1/T2延長を呈する結節。結節は増強効果を欠く。→膿瘍や黄色肉芽腫を反映。
Shuto R, et al. Eur Radiol 2004; 14: 440-446・脂肪の含有(後述)。
・粘膜面は保たれることが多い。
・肝、結腸、十二指腸、腹壁への癒着や瘻孔形成。
・胆嚢、胆管内に結石を有することが多い。
Singh VP, et al. World J Radiol 2016; 28: 183-191
XGC:胆嚢癌との鑑別
・CTで低吸収、MRIでT1/T2延長を呈する壁内の結節はXGCに特徴的であるが、出現頻度は50%程度。
Shuto R, et al. Eur Radiol 2004; 14: 440-446 ・XGCでは、chemical shift image:CSIで壁内の脂肪が70%以上で検出される。
Singh VP, et al. World J Radiol 2016; 28: 183-191・脂肪を含む胆嚢癌も報告されている(英文報告で数例)。
Nakayama T, et al. Abdom Imaging 2003; 28: 684-687
XGC:CT診断
造影CTにおいて、下記5項目中3項目以上あればXGCを疑う(感度83%、特異度100%)
・びまん性胆嚢壁肥厚 (対称性/非対称性)
・壁内の低吸収結節
・粘膜面の連続性あり
・肝内胆管拡張なし
・リンパ節腫大なし
Goshima S, et al. Eur J Radiol 2010; 74: e79-83 →本症例は上記のうち4項目を満たしていた
Take Home Message |
XGCの診断においては、
・脂肪含有(CSIでは検出率70%以上)
・CT所見5項目の組み合わせ
によりXGCの正診に迫ることができる。
参考文献