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第 382 回 東京レントゲンカンファレンス[2018年2月22日]
症例5 70歳代 男性 : 脂肪肝の経過観察目的の超音波検査にて左後腹膜腫瘍を指摘された
骨髄脂肪腫
myelolipoma


 画像所見のまとめ

・腹部超音波検査上、大動脈左側に腎と離れて約7cm大の高エコー腫瘤を認めた。後腹膜由来と考えられた。
・CT上、腫瘤は辺縁整、脂肪成分主体で、造影増強効果を伴っていた。明らかな浸潤所見は認めない。
・MRI上、脂肪成分主体に、漸増性の造影増強効果を示し、DWI高信号を示す充実成分を伴っている。

 

 部位による鑑別疾患
   
脂肪腫
骨髄脂肪腫 
・血管筋脂肪腫
・線維脂肪腫
・線維腫
・奇形腫
・線維性組織球腫
・血管平滑筋腫
・神経原性腫瘍
・血管腫
・横紋筋腫
(髄外造血)
脂肪肉腫
・悪性線維性組織球腫
・粘液線維肉腫
・低悪性線維粘液性肉腫
・平滑筋肉腫
・血管肉腫
・横紋筋肉腫
・悪性末梢神経腫瘍
・悪性リンパ腫

 

 骨髄脂肪腫

・1905年にGierkeが報告した成熟した脂肪組織と骨髄類似の造血組織(3系統の造血細胞)で構成される稀な良性髄外腫瘍である。
・多くは副腎由来であるが後腹膜、仙骨前面、縦隔、肝、脾、肺、下顎骨など多様な発生報告がある。
・40歳以上に多く、無症候性のことが一般的であり、他の疾患に付随して発見されることが多い。
医学検査 2010;59:1241-1246・CTやMRIでは内部の脂肪組織を反映した所見
(CT:低吸収,MRI:T1,T2強調像で高信号,chemical shift imagingのopposed phase:信号低下)を呈する。
臨床画像 2013;29:1112-1125・腫瘍内石灰化は20%に見られ、以前の出血によると考えられている。
臨床画像 2012;28:576-586・骨髄脂肪腫では周囲との境界は明瞭であるが、脂肪肉腫では内部が不均一で不整な辺縁を呈し、周囲組織への浸潤がみられる。 
西日本泌尿器科 2006;68:596-598


 結語

・偶発的に後腹膜腔に発生した骨髄脂肪腫の一例を経験した。
・後腹膜腔脂肪性腫瘤の鑑別に、頻度は低いものの骨髄脂肪腫も挙げられる。

 

 


参考文献

  • 医学検査 2010;59:1241-1246
  • 臨床画像 2013;29:1112-1125
  • 臨床画像 2012;28:576-586
  • 西日本泌尿器科 2006;68:596-598