ブレンナー腫瘍 Brenner tumor |
血液検査:CA125 44.4U/ml、CA19-9<0.4U/ml、エストラジオール(E2) 21pg/ml
画像所見
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単純CT:
・子宮左背側に広範・無構造な石灰化を伴う分葉状腫瘤
・その他、腹部に異常所見なし
単純MR: |
一部高信号だがT2 blackoutのため詳細評価困難 |
・腫瘤腹側辺縁に左卵巣動静脈と思われる血管構造あり
・子宮内膜肥厚、筋層内にspot状T2延長域
・左卵巣は同定できず(右卵巣は同定可)
鑑別診断
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・左卵巣動静脈関与 | →子宮付属器由来 | ||
・内膜エストロゲン作用+ | →左卵巣腫瘍 |
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・左卵巣同定できず | |||
・一側性 | →原発性 |
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・その他腫瘤性病変なし | |||
・充実性、T2WI very low、広範な石灰化、閉経後 | |||
(1)Brenner tumor (2)Fibrothecoma (3)Carcinoid |
病理
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病理組織像:
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術後経過:エストラジオール(E2)は<5pg/mlに低下
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Brenner tumor
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・全卵巣腫瘍の1-2%、閉経前後に好発、 >90%が良性
・著明な線維性間質内に尿路上皮様の胞巣が散在、
胞巣の一部が粘液産生し、嚢胞構造をとることもあり
(粘液性嚢胞腺腫等の合併も)
・T2WIで筋と同程度の著明な低信号、漸増性に中等度濃染され、DWIは低信号(T2 blackout)
・変性は少なく比較的均一。粘液性嚢胞が主体の場合も
・広範・無構造な石灰化を含む(83%)
Moon WJ, J Comput Assist Tomogr, 24:72-6
ホルモン産生卵巣腫瘍:
・性索間質性腫瘍の他、多くの原発/転移性卵巣腫瘍も卵巣固有間質細胞の増生によりホルモンを産生
・アンドロゲン産生腫瘍であっても、アロマターゼの作用により子宮内膜ではエストロゲン作用をきたしうる1)
・Brenner tumorは4-14%で子宮内膜過形成あり2)
1)Roncati L, Int J Gynecol Cancer, 26:1461-4
2)Sharma M, J Mid-Life Health, 8:89-91
Take home message
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・閉経後子宮内膜にエストロゲン作用があれば、卵巣腫瘍(原発/転移性を含む)の可能性がある
・T2WIで著明な低信号、広範な石灰化を含む卵巣腫瘍は、Brenner tumorを考慮する
参考文献
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