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第 385 回 東京レントゲンカンファレンス[2018年6月28日]

症例3 60歳代 男性:左腹痛、腹部膨満感
左傍十二指腸ヘルニア
left paraduodenal hernia


 内ヘルニア

・腹腔内の開口部(腹腔内の陥凹(腹膜窩)や腸間膜などの欠損部(異常裂孔))を通る腹部内臓器の逸脱
 →本症例は腹腔内の陥凹(腹膜窩)に入り込んだもの(snake in a bag様)
・0.5〜3%は腸閉塞の原因となる⇔無症状もあり
・原因:
 先天性→正常な孔または異常な腹腔窩、腸回転異常、腹膜癒合不全
 後天性→炎症、外傷、手術など

内ヘルニア:画像所見
・腸管の集簇像(claster)
・腸管の嚢状像(sac-like appearance)
・腸間膜血管と脂肪層の集簇像とヘルニア門

 

 左傍十二指腸ヘルニア

・腸管の集簇像(claster)/腸管の嚢状像(sac-like appearance)
 →左上腹部(通常膵体尾部背側あるいは胃と膵体部の間
・注目する血管:下腸間膜静脈と左結腸動脈上行枝は腹外側に圧排されている(背側に嚢状の小腸ループあり)
・その他:下行結腸は前外側、横行結腸および十二指腸空腸移行部は下方に圧排
・ヘルニアを起こした小腸腸間膜の血管は集簇し、進展・拡張・うっ血し、ヘルニア門に向かう

 

 まとめ

・内ヘルニアは絞扼の原因ともなるため診断には緊急を要す
・腸管の集簇やsac like appearanceをみたら内ヘルニアを疑う
・ランドマークとなる脈管や周囲構造の特定がkeyとなる(左傍十二指腸ヘルニアではIMV)
・内ヘルニアの診断には造影CTが第一選択

 

 


参考文献

  • Satoshi Doishita et.al. Internal Hernias in the Era of Multidetector CT: Correlation of Imaging and Surgical Findings RagioGraphics Volume 36 Number 1 p88-106
  • 佐藤秀一ら 内ヘルニアのCT診断 画像診断vol.25 No8 2005
  • 木本誠二・和田達雄監修 新外科学体系 25巻B 1990 p192-199