第 385 回 東京レントゲンカンファレンス[2018年6月28日]
デノスマブによる大腿骨非定型骨折 atypical femoral fractures associated with the use of denosumab |
画像所見 |
骨盤部単純写真
・左大腿骨近位骨幹部に横走する骨折線(転子下骨折)
・術後:左大腿骨骨幹部の外側骨皮質の不整な肥厚
・右大腿骨骨幹部の外側骨皮質にも同様の不整な肥厚
MRI
・両側大腿骨骨幹部の外側骨皮質に不整な肥厚
・両側恥骨、坐骨、右大腿骨などに多発する結節状の骨髄異常信号 → 多発骨転移
骨シンチグラフィー
・両側大腿骨近位骨幹部の外側に集積亢進 → 上記外側骨皮質の肥厚部に一致
・脊椎や肋骨など全身の骨に多発する集積亢進 → 多発骨転移
大腿骨非定型骨折(Atypical femoral fractures; AFFs) |
・2005年にOdvinaらにより提唱された、非外傷性に発症する転子下または骨幹部骨折
・ビスホスホネート(BP)、デノスマブの他、ステロイドやPPIとも関連が指摘されている
・ただし上記薬剤以外でも生じ、糖尿病、関節リウマチ、ビタミンD欠乏とも関連が指摘されている
・発生頻度は極めて低い(BP製剤使用患者10万人・年あたり3.2〜50例)
・疲労骨折あるいは不全骨折と考えられている
・外傷なし、あるいは軽微な外傷で発症(立位の高さからの転倒)
・外側骨皮質に端を発する横骨折/両側骨皮質を貫通する完全骨折
・非粉砕骨折、もしくは粉砕があってもごくわずか
・骨折部外側骨皮質の外骨膜もしくは内骨膜の限局性骨膜肥厚(“beaking”,“flaring”)
Take home message |
大腿骨骨幹部の骨皮質病変や大腿骨非定型骨折をみたら既往と使用中の薬剤を確認
参考文献