casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第385回症例症例:呈示
第 385 回 東京レントゲンカンファレンス[2018年6月28日]
症例4 40歳代 女性
腺筋腫
adenomyoma

 

 MRI所見のまとめ
   
img ・内膜症性嚢胞→基盤に子宮内膜症あり

・子宮から連続する境界明瞭な腫瘤性病変で石灰化を伴っている。
・T2WIで低信号を主体として、内部に不均一な高信号域と低信号域の混在を認める。
・T1WIで腫瘤内に出血を疑う高信号域を認める。

 

 経過

内膜症性嚢胞でフォローされていたが、経時的に増大傾向であったので、手術を施行。

img
・紡錘形核と好酸性細胞質を有する腫瘍細胞が束を形成して錯綜して配列する平滑筋の領域と、
 これに混在して異型のない島状の内膜腺みられる。→Adenomyomaに合致する所見。

病理所見:Adenomyoma(腺筋腫)

 

上皮性間葉性混合腫瘍の構成成分による名称
  良性上皮成分 悪性上皮成分
良性間葉成分 adenofibroma
adenomyoma
atypical polypoid adenomyoma

carcinofibroma

悪性間葉成分 adenosarcoma carcinosarcoma
子宮体癌取り扱い規約.改訂第3版. 金原出版,東京2012

 

 Adenomyoma(腺筋腫)

・子宮内膜型腺管と平滑筋よりなる良性腫瘍。1)
・肉眼的には粘膜下のポリープ状腫瘤として認められることが多い。
 有茎性に発育する症例の報告はあまりなく、ある研究例で約28%程度との報告あり。2)
・病理組織学的には異型や複雑な組織構築を伴わない腺管が線維筋性の間質を伴って増生し、
 平滑筋がこれを取り巻くのが特徴的である。3)
・T2強調画像で低信号の有茎性ポリープ状の腫瘤で内部に出血を含む。
 前者は構成成分である平滑筋を、後者は内膜腺に生じた出血を反映している。4)
・実際はT2強調画像で高信号を呈することも多く、信号強度は内包する平滑筋量にも左右される。
・良性腫瘍ではあるが粘膜下腫瘤では浅い筋層浸潤を伴うことが稀ではなく、時に悪性腫瘍と間違われる要因となる。5)
1) 田中優美子;産婦人科の画像診断 p.225
2) Mayumi Takeuchi et al;Abdominal Imaging 2015 40:480-487
3) McCluggage WG et al;Pathology and Genetics of Tumors of Breasts and Female Genital Organs
4) Kitajima K et al;J Comput Assist Tomogr 31:463-468,2007
5) Connors AM et al;Br J Radiol 76 :66-68 2003

鑑別疾患:atypical polypoid adenomyoma(APAM)
・adenomyomaの変異型に分類され、子宮内膜異型腺管と平滑筋が密接に混ざり合ったポリープ状の腺筋腫。
・生殖可能年齢の女性(平均39.7歳)の子宮体下部に後発する。1)
・病理組織学的には異型があり複雑な組織構築をもった内膜型の腺管が増殖し間質の増生は伴わない。
1)YoungRH et al:Am J Clin Pathol 86:139-145,1986

 atypical polypoid adenomyoma(APAM)

・内膜腔に突出するポリープ状の粘膜下腫瘤が多く、T2強調画像では信号強度は不均一もしくは筋層よりも高信号であり、内部に内膜と同等の信号強度(T2強調画像高信号、造影後良好な増強効果)を示す部分がある。1)
・Adenomyomaと画像上で共通点が多く、両者の鑑別は困難とされる。
1)Yamashita Y et al;Comput Med imaging Graph 19:351-355,1995

 


参考文献

  • 子宮体癌取り扱い規約.改訂第3版. 金原出版,東京2012
  • 田中優美子;産婦人科の画像診断 p.225
  • McCluggage WG et al;Pathology and Genetics of Tumors of Breasts and Female Genital Organs
  • Kitajima K et al;J Comput Assist Tomogr 31:463-468,2007
  • Connors AM et al;Br J Radiol 76 :66-68 2003
  • YoungRH et al:Am J Clin Pathol 86:139-145,1986
  • Yamashita Y et al;Comput Med imaging Graph 19:351-355,1995
  • Mayumi Takeuchi et al;Abdominal Imaging 2015 40:480-487

 

◀ 症例提示へ戻る 画像をまとめて見る…PDF
Moderator: 加納 瑠為、五味 拓、榎 啓太朗、本橋 健司、倉田 直樹、清水 勧一朗、貞岡 俊一