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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第387回症例症例:呈示
第 387 回 東京レントゲンカンファレンス[2018年10月25日]
症例7 40歳代 女性
胆嚢結核
gallbladder tuberculosis

 

 画像所見

img 造影CT(門脈相)
・胆嚢の腫瘤から周囲肝実質に連続する辺縁不明瞭な低吸収域
・石灰化が著明 (胆石?)
・肝内胆管拡張

単純CT(肺HRCT)
・両肺上葉の背側優位に小葉中心性粒状影、分岐状構造物

FDG PET
・病変部に強いFDG集積(+)
・両肺上葉にも集積(+)
・子宮、卵巣にも集積(+)

MRI (T2強調像)
・子宮に明らかな腫瘤は見られない
・子宮内膜の厚さがやや不整で、
 一部に癒着があるように見える

 

婦人科受診
子宮、卵巣病変精査のため婦人科受診

子宮内膜組織診
・悪性所見なし
・間質に肉芽腫性変化が見られ、Langerhans型巨細胞も見られ、結核がまず疑われた
・Ziehl-Nielsen染色で明らかな菌体は認めなかった

 


 ERCP

img・ERCPでは肝門部〜総胆管上部の狭窄
・胆嚢壁に不整形の腫瘤?
・カテーテルを胆嚢内に挿入して胆汁を採取し
 各種培養、細胞診
・胆汁: Gaffky 1号   PCRで結核菌(+)
・細胞診 Class V
・胃液、喀痰: Gaffky 陰性 PCRで結核菌(+)
・肺、胆嚢、子宮結核として他院に転院し、抗結核剤治療
・胆管狭窄に対し肝部分切除、胆摘、肝管空腸吻合術を施行

病理組織診断
  ー胆嚢:類上皮細胞性肉芽腫
  ー肝臓:石灰化、硝子化・線維化、乾酪壊死、類上皮細胞性肉芽腫
       いずれも抗酸菌症として矛盾しない

  ー腫瘍性病変は認めない
  ーZiehl-Nielsen、auramine(いずれも抗酸菌の染色)、fungi flora Y
  (真菌の染色)の各染色を行ったが、標本中に菌体は陰性であった

・子宮内膜組織診の異常は、抗結核剤治療後には消失

 

 胆嚢結核

・結核感染の部位としては比較的まれ
   胆汁酸は結核菌の発育を阻害するとされる
   2010年までにおよそ120例の英語文献の報告例あり
・症状は胆嚢炎などと類似し非特異的
・画像診断でも胆嚢炎や胆嚢癌との鑑別は難しく、
 報告例の大部分は胆石・胆嚢炎・胆嚢癌などの診断で手術が行われ、術後に結核と診断されている

単純、造影CT
・びまん性の胆嚢壁肥厚、胆石
・胆嚢壁は不均一に造影

造影CT
・びまん性壁肥厚と周囲の肝への浸潤
・胆嚢壁の一部に石灰化や壊死を伴う限局性の腫瘤、それを取り巻く広範囲の肝実質に石灰化を伴う病変の進展

 


参考文献

  • Gallbladder tuberculosis camouflaging as gallbladder cancer - case series and review focusing on treatment Xu X-F, et al. Korean J radiol 2011; 12:196-202

 

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Moderator: 清水 宏一