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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第389回症例 症例:呈示
第 389 回 東京レントゲンカンファレンス[2019年1月24日]
症例6 0歳代 女児
重複大動脈弓に伴う気管狭窄
tracheal stenosis associated with double aortic arch(type C)

 

 画像所見

胸部単純写真 食道造影
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気管の左側への偏位と狭小化 食道に圧排所見
   
胸部造影CT
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3D再構成
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 鑑別診断

・右側大動脈弓+左鎖骨下動脈起始異常
・重複大動脈弓+左側大動脈弓の部分閉鎖(痕跡的大動脈弓)

鑑別診断のポイント
➀ 左総頸動脈の走行
➁ 総頸・鎖骨下動脈の配置(胸郭入口部レベル)

 

 大動脈弓の発生異常に伴う臨床上の問題点

・血行動態に影響を与えるか・・?
   →基本的に影響は少ない
・気道・食道の圧迫症状が問題!
   気道狭窄,喘鳴,呼吸苦,嚥下困難etc.

血管輪 vascular ring img

 大動脈弓とその分枝血管が輪状に
 気管・食道を取り囲む状態

 代表的な病型
 ・重複大動脈弓
 ・左動脈管索を伴う右側大動脈弓
 ・右動脈管索を伴う左側大動脈弓 etc.

大動脈弓の発生とリモデリング

計6か所の存続・退縮が重要
・第4咽頭弓動脈
・第6咽頭弓動脈(動脈管)
・背側大動脈第8分節

Edwardsらは
重複(両側)大動脈弓 + 両側動脈管  を基本型とした理論的模式図を構築

 

 重複大動脈弓
   
左右第4弓と背側大動脈第8分節が存続

分枝は対称的(four-vessel, four artery sign)
 右側大動脈弓→右総頸・鎖骨下動脈
 左側大動脈弓→左総頸・鎖骨下動脈 がそれぞれから分岐

血管輪(左・右側大動脈弓)を形成
先天性心疾患の合併は稀


どちらかが太く発達し,反対側が細い場合
優位(太い方)、劣位(細い方)大動脈弓
※右側=優位,左側=劣位のことが多い

劣位側が部分的に閉鎖し,索状構造として残存する場合
痕跡的大動脈弓
・痕跡的大動脈弓の位置で分類
 近位型(Type C・D):起始部〜左第4弓、頻度少ない
 遠位型(Type A・B):左背側大動脈第8分節、頻度多い
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Gardi et al. Cardiovas Radiol. 1978;1,143-145.
Ito et al. Br J Radiol 2006;79:e71-4.

 

右側大動脈弓+左鎖骨下動脈起始異常

分枝は非対称的
 右側大動脈弓→左・右総頸,右鎖骨下動脈
 左側大動脈弓(Kommerell憩室)→左鎖骨下動脈   がそれぞれから分岐

血管輪(右側大動脈弓−左動脈管)を形成
先天性心疾患の合併は稀

 

 Take home points

・大動脈弓の発生異常の内、血管輪を形成し症状を呈するものがある(重複大動脈弓,右側大動脈弓+左鎖骨下動脈起始異常etc.)
・一見、右側大動脈弓に見える症例が、実は重複大動脈弓かも知れない
・痕跡的大動脈弓を伴う重複大動脈弓の読影においては、総頸・鎖骨下動脈に注目
➀ 屈曲・牽引像を伴うか
➁ 左右対称か(four-artery or four-vessel sign)

 


参考文献

  • Gardi et al. Cardiovas Radiol 1978;1:143-5.
  • Iki et al. J Vasc Surg 2011;54:1151-3.
  • Ito et al. Br J Radiol 2006;79:e71-4.
  • Schlesinger et al. AJR 2005;184:1634-9.
  • Hanneman et al. Radiographics 2017;37:32-51.
  • Turkvatan et al. KJR 2009;10:176-184.
  • Hung et al. KJR 2013;14:845-848.

 

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Moderator: 名川 恵太