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第 390 回 東京レントゲンカンファレンス[2019年2月28日]

症例7 40歳代 女性:下腹部痛あり。近医受診し子宮筋腫の指摘。増大していたため精査受診。
子宮ユーイング肉腫
uterine Ewing sarcoma


 子宮ユーイング肉腫/PNET

・PNET(primitive neuroectodermal tumors)は胎児神経外胚葉細胞に由来すると考えられる悪性腫瘍。
・PNETおよびユーイング肉腫は同一の遺伝子変異を有し、Ewing‘s sarcoma family of tumorsと称され、共通の疾患群とみなされている。
・子宮内の神経外胚葉性細胞の起源はまだ未解明。
・子宮原発のユーイング肉腫/PNETの報告数は現在までに100例以下であり、非常にまれな腫瘍である。
・明確な疫学的傾向はわかっていない。
・おもな症状は不正出血。
・画像所見についても、平滑筋肉腫との明確な鑑別点となりうる所見は発見されていない。
・診断は、CD99などのマーカーを用いた、神経外胚葉性分化の顕微鏡的/免疫染色的所見に基づいている。特にCD99はPNETに特異的なマーカー。
・症例が非常にまれなため、治療指針のガイドラインもない。外科手術、補助化学療法(VAC-IE療法など)、放射線治療が含まれる。

 

 Take Home Message

・子宮原発ユーイング肉腫/PNETという非常にまれな症例を経験した。
・術前画像で子宮肉腫までは鑑別可能。
・現時点での他の肉腫とPNETとの画像上の鑑別は困難。
・今後の研究課題となりうる。

 


参考文献

  • C.R. Elizalde, et al. Primitive neuroectodermal tumor of the uterus. Gynecologic Oncology Reports 18 (2016) 25−28
  • Taku Homma, et al. Uterine corpus tumor with neuroectodermal differentiation and frequent ganglion-like cells in a postmenopausal woman. Gynecologic Oncology Reports 24 (2018) 65−77