第 394 回 東京レントゲンカンファレンス[2019年9月26日]
症例7 50歳代 男性:下腹部痛 |
メッケル憩室による腸閉塞 intestinal obstruction due to Meckel's diverticulum |
画像所見まとめ |
・広範な小腸拡張・液貯留、右下腹部にcaliber change (+)→小腸閉塞
・closed loop形成、腸管の造影効果減弱(-)→単純性小腸閉塞
・caliber changeの肛門側の回腸より分岐し、盲端で終わる索状物(+)→索状物による単純性小腸閉塞
開腹歴のない索状物による腸閉塞の鑑別疾患 |
メッケル憩室(卵黄腸管遺残、卵黄血管遺残含む)
尿膜管遺残
腹膜垂による索状物
虫垂炎による索状物
メッケル憩室 |
・卵黄腸管の遺残による小腸の真性憩室
・最も頻度の多い消化管先天奇形(全人口の約2%)
・男女比 2:1
・異所性胃粘膜、膵組織の迷入が多い
・回腸末端から口側60cm程度の腸間膜対側に存在
・ほとんどが無症状に経過するが、合併症としては成人では腸閉塞、小児では出血が多い
メッケル憩室に関連する腸閉塞の分類(Rutherfordら) |
・卵黄靱帯を中心とする軸捻転
・卵黄血管遺残による内ヘルニア
・憩室炎による癒着
・憩室の内反とこれを先進部とする腸閉塞
・鼠径ヘルニア嚢内への嵌頓(Littreヘルニア)
take home message |
・開腹歴のない腸閉塞はメッケル憩室を鑑別に挙げる
・MDCTで多断面からメッケル憩室や索状物(卵黄靱帯、卵黄血管遺残)を検索することが重要
参考文献