第 394 回 東京レントゲンカンファレンス[2019年9月26日]
症例8 40歳代 女性:左腰痛 |
卵巣線維腫 ovarian fibroma |
T2強調画像で充実部が低信号の充実性腫瘤の鑑別 |
良性
@子宮漿膜下筋腫(子宮連続性、正常卵巣あり、早期造影効果)
A線維成分→低信号
・線維腫(後述)
・莢膜細胞腫(閉経後好発、ホルモン活性あり、in phase像よりopposed phaseで信号低下)
・Brenner腫瘍(閉経前後に好発、線維腫より小さい、変性は稀、高頻度に石灰化を伴う)
悪性;Krukenberg腫瘍(両側性、早期造影効果、小嚢胞形成)
卵巣線維腫 |
・性索間質性腫瘍
・全卵巣腫瘍の4%を占める
・中年女性に好発
・片側性の充実性腫瘍
・ホルモン活性なし
・まれに多量の胸腹水を伴う(Meigs 症候群)
卵巣線維腫のMRI所見
・T1強調画像、T2強調画像ともに低信号
・拡散強調像では正常子宮内膜より強い異常信号は示さない
・ダイナミック造影では晩期に淡い増強効果
・線維成分の割合は症例ごとに多彩
・サイズが大きくなると変性・浮腫を伴う症例が多い
6cmを超える卵巣線維腫のMRI 特徴 |
特徴 | 6cm以上 | 6cm以下 |
被膜 | 100(15/15) | 35(7/20) |
変性 | 93(14/15) | 45(9/20) |
辺縁の嚢胞性変化 | 87(13/15) | 20(4/20) |
T2強調画像で不均一信号 | 93(14/15) | 21(4/19) |
不均一な造影 | 71(10/14) | 21(4/19) |
Shinagare et al. AJR. 2012;297-303 |
まとめ |
・充実成分が主体なため悪性と誤認しやすい
・線維成分が症例ごとに異なり前述のような典型所見を示さないことも多々ある
参考文献